宮城県石巻市雄勝町の廃校を改修した、子ども向け複合体験施設が7月中旬に開業した。同施設は、周囲を山と海に囲まれており、子どもたちは自然の循環を遊びながら学べる。オープンして1カ月が経つが、学校や塾からの申し込みが相次いでいる。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

周囲が森に囲まれているからこそ、思いきり自然の中で遊ぶことができる

周囲が森に囲まれているからこそ、思いきり自然の中で遊ぶことができる

同施設の名称は、MORIUMIUS(モリウミアス)。2001年度に閉校となった旧・雄勝町立桑浜小学校を改修して再生させた。この施設を運営するのは、公益財団法人sweet treet 311(宮城県石巻)。

桑浜小学校の改修作業には、4500人を超すボランティアが関わった。教室や校長室、体育館を改修して、木の温もりがただよう宿泊室や食堂に変えた。コミュニティスペースも設け、地域住民との交流の場としても機能する。

モリウミアスの校舎外観

モリウミアスの校舎外観

雰囲気のあるレストラン

雰囲気のあるレストラン

この施設での学びは、「生きる力」だ。三陸沖に位置しており、四方を山、森、海に囲まれている。体験プログラムでは、地元漁師や農家が講師になり、子どもたちに一次産業を教える。近くの森では、硯石がよく取れる。取った石を削り、お箸やアクセサリーにもできる。

木工体験もできる

木工体験もできる

体験プログラムは、1泊2日から7泊8日、さらには1カ月の長期滞在プランも用意されている。なかでも、人気なのが、小中学生のみが参加可能な7泊8日のプランで、全国の学校や塾から問い合わせが相次いでいるという。

同団体理事の油井元太郎さんは、「都市部ではできない、自給自足の暮らしを体験し、自然の循環を感じ取ってほしい」と話す。

油井さん

モリウミアスを運営する油井さん

油井さんは、同施設を「世界とつながる拠点にしたい」と考える。日本人の子どもだけでなく、外国人のスタッフや留学生を積極的に受け入れて、雄勝住民と交流させていきたいと言う。

東日本大震災により、雄勝町は甚大な被害を受けた。町の人口は4500人ほどいたが、いまでは1000人ほどだ。油井さんは、「昔の雄勝に戻すことはできない。ぼくたちにできることは、交流人口を育むこと」と役割を定める。

MORIUMIUS

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