スポーツをきっかけにした寄付者「スポーツドナー」を増やすための小委員会が7月15日、参議院議員会館で開かれた。元マラソン選手の高橋尚子氏、日本プロサッカー選手会執行役員の平野孝氏、スポーツキャスターの古田敦也氏の3人が専門家として参加。自らの関わった寄付活動をもとにプレゼンし、アイデアの共有を行った。高橋氏は「日本には寄付文化がないと言われがちだが、その下地はある。窓口の設定が大切」と語った。(オルタナS編集部員=佐藤 理来)

左から平野孝氏、古田敦也氏、高橋尚子氏、委員会座長の遠藤利明衆議院議員

左から平野孝氏、古田敦也氏、高橋尚子氏、委員会座長の遠藤利明衆議院議員

1000万人スポーツドナー小委員会は、2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに日本の寄付文化を醸成するため、情報交換をする委員会だ。第5回までヒアリングを中心とした情報共有を行い、9月末には提案書を取りまとめる。

パラリンピック競技、マイナースポーツで特に寄付は重要課題だ。しかし、選手への寄附だけがスポーツドナーではない。京都マラソンでの完走を条件に研究資金を募った山中教授のようなチャンレンジもスポーツドナーの典型例である。むしろ、本人の活動ではなく、NPOのような具体的な団体への支援を掲げて寄付を募るパターンがイギリスなどではよく知られている。

「日本で寄付文化の醸成は難しいのでは」との議員からの質問に、古田氏は「やる気をこちらから見せて行けば自然と人は集まってくる。」とムーブメントを起こす大切さを強調。

たとえば、山中教授のチャレンジでは、クラウドファンディングサイト上では総額2億25万円だった。しかし、話題を呼んだことでムーブメントとなり、電話連絡も殺到。結果的に10億円の寄付が集まっている。

委員会コーディネーターを務めた佐藤大吾氏(ジャストギビング代表)によれば、「日英米で寄付をする人の平均額は日英米それぞれ3000円程度。また、一般人が寄付を呼び掛けた場合集まる人数も各国10人程度と変わりません。日本は寄付市場が小さいと言われるが、寄付を呼び掛ける人が少ないから市場規模が広がっていないのではないか」と考察した。