国際環境NGOグリーンピースジャパンは7月23日、ビカーラウナギに関するフィールド調査結果を発表した。ビカーラウナギは、インドネシアを主産地とし、第3のウナギとして注目される品種だ。絶滅が危惧されるヨーロッパウナギ、ニホンウナギの代替として期待されていたが、すでに乱獲状態にあることが今回の調査で判明した。背景には日本からの需要増があると考えられ、より注意深くウナギ市場に向かい合わねばならない。(オルタナS編集部員=佐藤 理来)

ビカーラウナギの生息域。(IUCNデータベースより)

ビカーラウナギの生息域。(IUCNデータベースより)

ビカーラウナギが捕獲されるインドネシアでは正確な漁獲量統計資料がなく、きちんとした資源管理の調査が進んでいなかった。今回の調査では、漁業者、養殖業者、水産庁などにインタビューを行い、ウナギの輸入規制がコントロールしきれておらず、密輸も発生している実態を報告した。

同団体はウナギ問題に積極的に取り組んでおり、今年6月には大手スーパー15社を対象に品種調査を実施していた。この際、ビカーラウナギの取り扱いを確認したのはイオン1社であった。しかし、ヨーロッパウナギ、ニホンウナギが扱えなくなった不足分を補うため、需要の増大は懸念される。行政の取り組みが遅れている中、日本の需要が乱獲を押しし進めてしまうおそれは大きい。

グリーンピースジャパンは発表のなかで「『代替』すべきはウナギ種ではなく調達方法」と述べ、薄利多売型の消費を変えていくべきだと警鐘を鳴らす。

ビカーラウナギは今年6月に発表されたICUNのレッドリストで、「準絶滅危惧種(NT)」に指定されている。