既存の価値観にとらわれないビジネスを創出するプログラム「RELEASE; U30(リリースアンダー30)」のキックオフイベントが6月、京都産業大学むすびわざ館(京都市下京区)で行われた。「世代を越えた共同体としてビジネスを実践する」ことを目的に、学生と社会人合わせて約100人が参加。「大量エントリーの就職活動」など疑問に感じる社会の仕組みについて議論し、ビジネスアイデアの起点を探った。(オルタナS関西支局特派員=磯部 亮太)

真剣な眼差しで議論を交わす参加者=京都市下京区 「デザインの持つ役割を考え直したい」と語る篠原美由さん=京都市下京区

真剣な眼差しで議論を交わす参加者=京都市下京区

オープニングセッションでは、参加者が4、5人ずつおよそ20のグループに分かれ「違和感のある社会の仕組み」について議論。健康を害するタバコの販売や、大量の企業にエントリーを行う就職活動への疑問の声が上がった。

RELEASE; U30を主催する実行運営委員のひとり、京都産業大学経営学部の大室悦賀(おおむろ・のぶよし)准教授(53)はソーシャルビジネスが専門だ。自身のゼミで企業と協働するうちに「安さ」や「便利さ」だけを追求する現在のビジネスに疑問を感じ、2013年11月、今回のプログラムの前身となる「RELEASE;」を、一般社団法人オープン・ガーデンの桜井肖典(さくらい・ゆきのり)代表理事(37)らと主催。京都の学生約160人と7つの企業が参加し、約3カ月間にわたってビジネスアイデアを競い合った。

「デザインの持つ役割を考え直したい」と語る篠原美由さん=京都市下京区

「デザインの持つ役割を考え直したい」と語る篠原美由さん=京都市下京区

第2回となる今回は、対象を全国の30歳以下の学生・社会人に広げ、企業と自治体合わせて10の参画団体が課題を提示。約半年間をかけて、アイデアの考案からビジネスの設計までを目指す。

参画団体の一つ、三重県桑名市は新しい目玉となる「お持たせセット」の開発を提示し、(桑名市課題ムービー:

イベントに参加した京都造形芸術大学芸術学部2年生の篠原美由さん(20)は、大学で情報デザインを学ぶ。大学の講義でアジアの貧困問題に触れ、デザインの多くが経済的に豊かな一部の人々のためだけに考えられていることに疑問を感じ、プログラムへの参加を決意。「社会のなかのデザインの役割を改めて考え直し、新しい意義を見いだしたい」と語った。

RELASE; U30公式HP
http://www.till-release.net/

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