青年海外協力隊員としてケニアで働いた日本人女性が、地域の小規模農家が抱える課題に取り組んでいる。悪意あるブローカーによって、収穫物の超低価格での買い取りをよぎなくされ、農家は収穫をあきらめ、貧困に陥るという悪循環が生まれている。理不尽な取引に苦しむ農家の現状を変えていくため、このほどクラウドファンディングでプロジェクトが立ち上がった。この取り組みを寄稿してもらった。
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今回、プロジェクトを立ち上げたのは、ケニアのマチャコスという地方都市で、青年海外協力隊員として2年6カ月間の活動していた山本歩さん。彼女が協力隊として、ケニアの農業省職員たちと働くなかで見えてきたのは、地域の小規模農家の抱える問題でした。(寄稿、ボーダーレスジャパン=加藤 彩菜)
特に、マンゴー農家に対するブローカーによる買い叩きは長年に渡り地域の深刻な問題となっており、提示価格があまりに低い場合、農家は販売をあきらめ、収穫せずにそのまま畑に放置し、腐らせてしまいます。国の農業研究機関の調査によると、マンゴーの廃棄率は40%を超えることもあるそうです。
「こんなにおいしいマンゴーをもっと生産してほしい。腐らせてしまうなんて。妥当な価格で余剰分を買い取ることができないだろうか。地元の資源を最大限に活用して、笑顔を増やしていきたい――」そんな思いからこのマンゴー加工プロジェクトが始動しました。
マンゴー農家が安定した公正な売り先を確保できれば、重要な収入源となり、貧困削減にも寄与する可能性があります。
農民たちも、「安定的な売り先さえ確保できれば、喜んでもっとマンゴーの樹を植えるのに」という思いをもっています。しかし彼らだけでは、どうすることもできないでいました。
そこで山本さんは、その問題の解決策として「生産地に果物加工施設を設け、ドライフルーツを製造し、ケニア内外の市場に売っていく」ことを考えるようになりました。
以下の3つのビジョンを掲げ、ケニアの半乾燥地域で、干ばつ耐性が強く栽培に適したマンゴーを加工することにより、農家に安定した売り先を提供し、農家の所得向上と雇用創出、地域資源を活用したビジネスの立ち上げに奮闘しています。
1. ケニアの果物農業の活性化と貧困率軽減
2. ケニアブランドの果物加工品の市場プレゼンスを高める
3.マンゴー栽培による地域環境保全に対する地域住民の意識が高まる
現在、山本さんは、果物加工に電気乾燥機の購入するためのクラウドファウンディング「レディフォー」で資金調達に挑戦しています。ケニアの小規模農家が抱えている問題を解決するための支援をすることができます。
表向きは順調な経済成長を遂げているケニアですが、農村地域に目を向けてみると、農業に頼る多くの低所得層の生活は相変わらず苦しく、経済格差が驚くほど拡大しています。
ものをあげるだけで一時的に終わってしまう援助だけでは意味がありません。農家に安定した収入をもたらし、余剰果物も活用でき、保存も可能にする「果物加工」が、農家の抱える問題を解く鍵につながるはずです。
プロジェクトの詳細はこちら→https://readyfor.jp/projects/kenya-mango-project
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