「家づくりから地球に正しい生活を実現できる」と提唱する人がいる。環境循環型住宅を提供する「むくむくはうす」(神奈川県)関西支部の加藤栄氏だ。地球をもう1個作らないと、暮らすことができないほど、資源の枯渇が叫ばれているなか、加藤氏の家づくりや地球への思いを聞いた。(聞き手・オルタナS関西支局特派員=高野 朋美)
――むくむくはうすが提案する「地球1個分の家」とは何でしょうか。
加藤:簡単に言えば、自然素材を用いた環境循環型住宅です。いまの社会では、地球の回復が追いつかないスピードで資源を消費しており、2030年には、地球がもう1つないと現在の生活を維持できないと言われています。
ではどうすればよいか。答えはシンプルです。使う資源の量を半分にするか、あるいは、機械や設備の効率を2倍に上げるか。そうすれば、たった1つの地球で暮らし続けることができます。
こうした考え方を住まいに取り入れたのが、地球1個分の家。資源も生活コストも地球の回復速度に合わせた住まいです。
――ほかのエコ住宅とはどう違いますか。
加藤:自然素材を使った家は確かに増えていますが、私たちが大切に思っているのは、人に対してだけでなく、地球に対しても負荷をかけないこと。例えば、石油などの「地下資源」は枯渇しますし、土に還りません。でも木などの「地上資源」は何度でも生えてきます。
ただし、使う一方ではなく、使った分は植樹して補うことが大切。単に自然素材であるだけでなく、森林や資源保護につながる素材を住まいに使っているかどうかが重要なのです。
――お手本はスウェーデンとのこと。その理由は何でしょうか。
加藤:3年前、家づくりを通じて出会ったスウェーデン人の環境コンサルタント、ペオ・エクベリさんがきっかけになっています。スウェーデンは環境への取り組みが非常に進んでいて、使用エネルギーの50%がグリーンエネルギーであったり、生活すべてが循環型のエコヴィレッジが都市部に誕生しています。こうした先進的な取り組みを大いに参考にしています。
ちなみにペオさんはいま、中古マンションを環境循環型リノベーションし、日本にいながら地球1個分の生活をしています。1カ月のゴミの量は、なんとサッカーボール1個分だけなんですよ。
――工務店や建築業者に呼びかけ、賛同者を募っていると聞きましたが。
加藤:現在、13社が私たちの考え方に賛同し、むくむくはうすの加盟店登録をしています。ゆくゆくは300社まで増やしたいですね。全国に300社あれば、何か変えられるのではないかと思っています。
12月2日に開催する環境循環型住宅のフォーラムでは、おそらく日本で初めてとなる住宅のエコラベル認定をお披露目する予定です。東京のスウェーデン大使館で開催しますので、興味のある方にたくさん来てほしいですね。
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