公益社団法人日本経済研究センターは9月27日、第5回GSR学生アイデアコンテストを開催した。貧困や環境汚染など、地球規模の社会的課題を解決する事業案を競い合うプレゼンコンテストだ。全国8大学のゼミ・有志団体が発表し、グランプリには、獨協大学高安ゼミGSRチームが輝いた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

トップバッターで登壇した、跡見学園女子大学 宮崎・井口ゼミのプレゼンを高評する、伊藤忠商事・CSR室の小野室長

トップバッターで登壇した、跡見学園女子大学 宮崎・井口ゼミのプレゼンを高評する、伊藤忠商事CSR・地球環境室の小野室長

GSRとは、Global Socia Responsibilityの略で、企業のリソースを生かして、グローバルな課題を解決する事業活動のことを指す。同コンテストの特徴は2つある。一つは、地球規模での社会的課題を設定すること。そして、もう一つは、企業2社を連携させた事業案をプレゼンすることだ。

今大会には、味の素、伊藤忠商事、全日本空輸、千代田化工建設、パナソニック、ベネッセホールディングス、ファンケル、富士ゼロックスの8社が参加。学生たちは、この中から2社を選び、コラボレーションさせた事業案を考えた。

慶應義塾大学梅津光弘研究会のプレゼン

慶應義塾大学梅津光弘研究会のプレゼン

優勝した、高安ゼミでは、千代田化工建設とファンケルの組み合わせを選んだ。障がい者人口比率が15%のベトナムで、インクルーシブ・ビジネスを提案した。同国で、障がい者を雇用し、遺伝子組み換えカイコと発芽玄米を育てる。カイコを低コストで生産し、人型コラーゲンを輸出する。

千代田化工建設の技術で、同地で育てる土地の水質・土壌管理を行う。ファンケルは、自社の障がい者雇用のノウハウを生かす。同ゼミ生は、プランを考えるために、自費でベトナムに渡り、現地調査も行った。2年連続の優勝となった。

2年連続の優勝となった、獨協大学高安ゼミGSRチーム

2年連続で最優秀賞を受賞した、獨協大学高安ゼミGSRチーム

優秀賞を受賞した、獨協大学高安ゼミGSRチーム。全日本空輸とベネッセホールディングスの組み合わせで、「インドネシア人への日本語教育と介護人材育成」をテーマに発表した

優秀賞を受賞した、明治大学牛尾ゼミチーム。全日本空輸とベネッセホールディングスの組み合わせで、「インドネシア人への日本語教育と介護人材育成」をテーマに発表した

優秀賞を受賞した、明治学院大学GSR研究会。パナソニックとファンケルの組み合わせで、「インド・ウッタルプラデシュ州での妊産婦の死亡率を低下させる」事業案を発表した

優秀賞を受賞した、明治学院大学GSR研究会。パナソニックとファンケルの組み合わせで、「インド・ウッタルプラデシュ州での妊産婦の死亡率を低下させる」事業案を発表した

学生たちには、プランを考えるまで、2回の企業訪問の権利が与えられている。企業側も学生たちが考えた社会的課題や事業計画書に対して、担当者を同席させ、細部に渡って追求する。今回プレゼンした8大学は、すべてアジアにおける課題を設定していたが、企業から調査不足を指摘され、直前になってプランを大幅に変更したチームは少なくない。

本コンテストのプランが、実際に採用されたことはまだないが、ビジネスプランの作成を通して、大学生たちの成長を見守るのも、本コンテストの楽しさの一つだ。第1回大会から参加している伊藤忠商事広報部CSR・地球環境室の小野博也室長は、コンテストに参加する意義を「次世代育成」と位置づける。

「学生たちが考えたプランを、企業から完膚なきまでに指摘されると、学生たちも目の色を変えて再度提案してくる。この経験を通して、自分たちの強みや弱みを把握できる」(小野室長)

今回、伊藤忠商事は2大学から提案された。一つは、跡見学園女子大学・宮崎・井口ゼミから、千代田化工建設と組み合わせ、「カンボジアにおける排水利用農業ビジネス」を提案された。もう一つは、慶應義塾大学梅津光弘研究会から、味の素と組み合わせ、「タイにおける栄養の2重苦解消プロジェクト」を提案され、こちらは「ユニーク賞」を受賞した。

「ユニーク賞」を受賞した慶應義塾大学の学生と梅津准教授

「ユニーク賞」を受賞した慶應義塾大学の学生と梅津准教授

梅津研究会では、タイでおきる栄養の2重苦問題に焦点を当てた。NPO法人テーブル・フォー・ツーが提供する寄付つきヘルシーメニューをタイのレストランなどに導入し、同国内での肥満と飢餓を一度に解決するプランだ。伊藤忠商事が持つ全世界への販売網と味の素が持つアミノ酸研究の技術を生かす。

梅津研究会の学生代表・坂本奈穂さん(慶應義塾大学文学部3年)は、「単にビジネスモデルを作成するのではなく、社会的課題を解決する事業計画が求められているので、難しかった」と話した。

同コンテストの企画に携わった慶應義塾大学商学部・梅津光弘准教授は、大学生が社会的課題を解決する事業プランを考えることに意味があると言う。「世界の権威が集まって、社会的課題について話し合う会議は多いが、その課題に直面するのは次世代の若者たちである。当事者が解決策を練ることで、実社会にも生かしてほしい」とエールを送る。


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