特定非営利活動法人サービスグラントは9月30日、渋谷で「プロボノ感謝祭」を開催した。「プロボノ」とは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とした言葉で、職業上のスキルや専門的知識を生かしたボランティア活動を意味する。(オルタナS特派員=山中 康司)
イベントを主催したのは特定非営利活動法人サービスグラント。同NPOでは課題を抱えたNPOに対し、「プロボノワーカー」として登録したマーケティングやデザインなどのスキルを持った社会人をマッチングする「プロジェクト型助成」を行っている。
今回のイベントは「プロボノ感謝祭」と題し、2013年に実際にサービスグラントから支援を受けたNPOとプロボノワーカーが登壇し、プロジェクトの成果や気付きを会場と共有した。
DV被害者の支援者に対する支援事業を行う東京YWCAは、それまで文字が多くわかりにくかったという団体のパンフレットの制作を、プロボノに依頼したという。普段はそれぞれの職場でマーケティングやコピーライティング、デザインなどに関わるプロボノワーカーが、コンセプト立案から制作まで行った。
プロボノとして参加した方からは、「DVの専門家ではないので、用語から学ぶ必要があり、大変だった」という意見や、「大変なことも一緒に考える人がいるので、ひとりで悩まずにすんだ」という声もあがった。
ボランティア派遣活動を中心に緊急災害支援および復興支援に取り組むピースボート災害ボランティアセンターも、プロジェクト型助成を利用した団体のひとつだ。同団体では、企業におけるボランティア育成や災害ボランティアトレーニングを提案するための営業資料をプロボノに作成してもらった。
プロボノとして参加した方からは、「プロジェクトを通じて普段一緒に仕事をする機会がない人とも関わることで、自分の仕事のやり方相対化できる」といった声や、「普段触れることの無い世界に触れ、大人の社会科見学のようだった」との声が上がった。
サービスグラントの嵯峨生馬代表理事は、「学生や社会人になったばかりの若者にとって、プロボノは難しいかもしれない。しかし、まずは企業でしっかりスキルを身につけて、数年後にプロボノとして社会に役立てるという選択肢もあると知っておいてほしい」と話す。
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