社会問題を「他人事」から「自分事」にするには。ワークショップなど様々な対話手法を用いて、東京と山梨で社会問題を「自分事」として捉える人を増やすことに挑戦する、任意団体bond place(2015年NPO法人化予定)の小笠原祐司代表に話を聞いた。(聞き手・Wandererライター 金田 みほ)

bond placeを立ち上げた小笠原さん

bond placeを立ち上げた小笠原さん

――小笠原さん、今日はお時間いただき、ありがとうございます。さっそくなんですが、bond placeはどのような活動をされている団体か、教えてください。

小笠原さん:ざっくりと、ですか(笑)一言で表すなら、人と人とが繋がる場を作る団体です。

現代社会、様々な問題が根っこで複雑に絡み合っていて、1人では解決できない。ですが、多くの人間が様々な経験や考えを持ち合わせることによって、これまで不可能だと思っていたことを可能にするヒントが見つかったり、人と自分自身の意見を繋げることで新たな学びを生み出したりすると思っています。

「可能性を選択できる機会を作ることって重要なんじゃねぇかな」という思いを僕自身が抱いていているので、bond placeではワークショップなど、様々な人が繋がり、社会問題について考える場を作ることに挑戦しています。

――ありがとうございます。では、次にbond placeを立ち上げたきっかけを教えてください。

小笠原さん:立ち上げまでに、大きく3つのステップがありました。1つ目は、前職の上司に連れられて、NPO団体「ミラツク」が主催する社会企業家のトークイベントに参加したこと。最初は「めんどくせぇな(笑)」と思って参加したイベントだったのですが、社会課題を自分事として考える企業家たちを見て純粋に「かっこいい」と思い、自分もああなりたいと思い、何か自分事にできることってないかな、と探し始めるきっかけとなりました。

2つ目は、就職活動前の大学生に出会ったときですかね。その学生が将来に対して不安でしかたがないという言葉を聞いて「この子が悩みを周りに打ち明けられて、多くの人のアドバイスと繋がる場を作れないかな」と思い、場作りを専門的に研究する方に会って話をするうちにワークショップのおもしろさに築き、専門的に学ぼう、という思いに繋がりました。

3つ目は、ワークショップについて本格的に学んでいるときに、「地方って新しい考えや行動に対して背を向けがちだな。」と思ったんですよね。自分自身が、山梨県の田舎育ちということでそれを肌で感じていたからこそ出た思いなのですが。その思いから、新しい人間や考えを受け入れることが難しい「地域(始まりは山梨)」でワークショップを開催する団体を作り、もっと意見が繋がる場を作ろう!という思いに至りました。

――団体を立ち上げてから会社を退職したと伺いました。活動をしていて、不安なことなどはありませんか。

小笠原さん:たしかに、現在でも収益的な不安は絶えません。ですが、前職の尊敬する上司に言われた「7分の7楽しめ(1週間まるまる楽しめ)」を心に残っていて。自分自身が「楽しい!」と直感で思ったことを活動に反映しているので、そこまで苦しいと思ったことはないですし、失敗してもその失敗の量が質を作ると思い、ポジティブに考えています。「まずはやらなきゃ、わからない!」がモットーです!

ワークショップで交流を図る参加者

ワークショップで交流を図る参加者

■ワークショップは他者理解と合意形成のエクササイズ

――小笠原さんの場作りの中でも開催されているワークショップ。他者を理解することの重要性とはなんですか。

小笠原さん:現代の日本ではSNSでの誹謗中傷など、心無い発言が目立っていますよね。そういった発言って、ちょっと立ち止まって相手の立場を考えることができれば、自分自身の考えとは異なることに対しても、思いやりのある発言に変えることができるのではないかと思います。それに、ちょっと立ち止まって考えることが、自分自身が今まで抱いていた考えを良い方向に改められるチャンスにもなる。

そのチャンスを逃すことって「もったいねぇな!」って思います。そういった意味で、他者理解って、自分自身の考えの選択肢を増やすチャンスに繋がるし、1人ひとりが社会で生きていく中で必要不可欠なことだと思います。

――他者理解をするためのアドバイスの1言をお願いします。

小笠原さん:うーん、難しい(笑)「ちょっと深呼吸して、相手の立場を考えなよ」ですかね。自分自身の「こうだ!」を主張する前に、相手の言葉に耳を傾けてみること。それが、相手を理解することに繋がり、自分自身を客観的に見つめ直すことにも繋がります!


小笠原祐司(bond place代表/ワークショップデザイナー/トライセクター・ファシリテーター)
学生時代から小学生、障害児向けのワークショップの企画やファシリテーションを行う。大学院修了後、企業の人材開発・人材戦略に関わるウィルソン・ラーニング・ワールドワイド(WLW)に入社。2013年にbond place を立ち上げ、地域活性化を目的とした市民参加型ワークショップや対話の場づくりを行う。また、社会起業家の育成や市民参加型事業へのコンサルティングも行っている。現在は、WLWを退職し、活動に専念している。bond placeは2015年にNPO法人化予定。

この記事は「wanderer」から一部編集し、転載いたしました


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