LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの総称)の当事者が相談しやすい人には、どんな特徴があるのだろうか。当事者たちのアンケートから「相談しやすい」先生の特徴6カ条が見えた。誰にも相談することができずに、不登校になる生徒が増えるなか、学校の先生や周りの友達はこのポイントを抑えてほしい。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

同書の帯には、乙武洋匡さんの、「まわりにいない」のではなく、「言い出せずにいるだけ」との言葉

同書の帯には、乙武洋匡さんの、「まわりにいない」のではなく、「言い出せずにいるだけ」との言葉

特定非営利活動法人Rebit(リビット)の薬師実芳代表理事らは『LGBTってなんだろう? からだの性・こころの性・好きになる性』(合同出版)を発行した。同書では、「しっくりくる呼ばれ方」「働き先の選び方」「家族へのカミングアウト」など、29のテーマ別に分かれている。どのテーマでも、LGBTの現役大学生50人にインタビューした回答を記載しており、どのように解決したのかヒントが記されている。

同書には、「相談しやすい」先生の6カ条も紹介されている。LGBTの人口比率は5.2%であり、1クラスに1~2人はいる割合だ。しかし、周りの友達や先生、親に相談することができずにいる人は少なくない。

厚生労働省の無料電話相談「よりそいホットライン」には、LGBT専門の回線があるが、2013年には年間で63万件以上の電話がかかってきた。その半数近くが10~20代の若者からだ。相談する人がいないことで、薬師代表理事は、「LGBTの3人に2人は一度自殺を考える傾向にある」と話す。当事者にとっては、一人でも相談できる人がいれば、死にたいという思いが30%も下がるという調査もある(米・The Trevor Project調査)。

もしクラスにLGBTかもしれない生徒がいる場合は、「ゲイなの?」と直接聞くのではなく、「話やすい雰囲気にすることが大切」という。

同書では、そんな雰囲気を作り出す6カ条がまとめられている。

1、話を聞いてくれる先生
自分のセクシュアリティについて話すことは、とても勇気が必要。日常会話のなかで、子どもの発言を尊重し、ていねいに話を聞いてくれる先生は相談しやすい。

2、LGBTを笑いの対象にしない先生
学校生活の場でLGBTが笑いの対象とされることは多くある。もし、そのような場面を見つけたら注意・指導してください。

3、「男性/女性だけではない」を知っている先生
性別を男性・女性の2つに分けない先生や、「男の子/女の子なんだから」という言い方をしない先生には相談しやすい。

4、「異性愛者だけじゃない」を知っている先生
みんなが異性愛者であることを前提とせずに、人を好きにならない、同性を好きになる人など「好き」の形は人それぞれだと知っていることを、日常の中でも話してくれる先生。

5、「LGBTを知っている」「知りたいと思っている」を伝えてくれる先生
LGBTに意識や知識があると、「相談しても否定されないだろう」と安心し、相談できる。

6、多様性への理解が深い先生
民族、文化、家族への多様性について話してくれるなど、人権意識の高い先生。

◆『LGBTってなんだろう? からだの性・こころの性・好きになる性』(合同出版)はこちら

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