先日、オーロビル内で始まった「アート・チャクラ」というイベントに参加した。「自己の内側にあるアートを表現、共有する場にしたい」との思いから開始された、このイベントについて紹介しよう。(オルタナS特派員=小川 美農里 写真=アート・チャクラ)

プレゼンターとして参加する著者(右端)

プレゼンターとして参加する著者(右端)

このイベントは、オーロビルのニュー・カマー(*オーロビルの市民権を持つ、「オーロビリアン」になる申請中の人たちの総称)のひとりによって開始された。開設者は、「誰しもが、心の内側にアートを持っている。しかし、それを表現・共有する機会や場が多くない。オーロビルは世界中から多国籍な人たちが集まっていて、多様性にあふれている。その多様なインナー・アートを表現できる場をつくりたかった」という。

このイベントは、月に2回開催され、誰でもプレゼンターとして参加できる。その日のプレゼンターによって内容は様々で、自作の詩、絵画、写真を紹介したり、自己の体験をプレゼンしたりしている。

先月は、他のプレゼンターとともに、インド人ファッション・フォトグラファーであるラフール・サハランが、ファッション写真を紹介した。モデルたちは、一般のファッション・モデルではなく、酸で襲撃を受けて大きな被害を受けた被害者たちだった。

モデルたちは、隣人や元夫、義理の母などによって酸をかけられ、顔や腕などの身体の一部が変形している。インドでは、年間約1000人が同様の被害を受けているという。とても悲惨な背景ではあるが、モデルたちはみな写真の中で、とても美しい笑顔を見せていた。

写真を紹介するラフール

写真を紹介するラフール

ラフールは、「この写真は過酷な悲劇を伝えようとしているのではなく、美しさの狭い概念をひろげ、本当の美しさを伝えたかった」という。

別のプレゼンターは、自作の短編映画を上映した。内容は、インドの売春婦の現状を、実際に出会った女性の体験を元に伝えたものだった。インドでは、恋愛相手の男性に騙されて売春を強要されるケースが後を絶たない。また、女性が社会復帰をしたくても、社会的な偏見や差別が強く、もとの社会生活に戻ることが困難だという。その事実が映画を通して伝えられた。

映画の説明をするプレゼンター

映画の説明をするプレゼンター

アート・チャクラに参加した男性は「国籍の違う様々な人たちが集まり、個人の才能や感性を表現できる場があるのは、とても素晴らしいと思う。自分が知らないことを知れて、とても良い刺激をもらえた」と語った。

休憩時間に交流を楽しむ参加者たち

休憩時間に交流を楽しむ参加者たち

私自身も、海外でのボランティア活動の体験などをプレゼンターとして発表したが、その後活発に意見や感想が得られた。自己の体験を改めて振り返り、掘り下げられる機会となった。普段から世界中の人たちと接していても、ひとつの課題について掘り下げて話す機会は多くない。

アート・チャクラを通して感じたことは、多様な文化と出会い、自己表現ができる機会や場は、日本でも実は多くあるのではないかということだ。在日外国人は、どこの街にもいるし、国籍や文化も様々だ。

関心を持って少し勇気を出して行動に移すことで、多様な文化と出会い、自己発見につながる機会に出会えるかもしれない。

FB公式ページ:https://www.facebook.com/AurovilleArtChakra

[showwhatsnew]

エコ・ファースト環境メッセージEXPO2014

スクリーンショット(2014-09-24 21.37.32)