伊藤忠商事は7月24日、Bunkamuraオーチャードホール(東京・渋谷)で「第3回伊藤忠サマーコンサート ニューヨーク・シンフォニック・アンサンブル(以下、NYSE)東京公演2017」を開く。指揮を務めるのは高原守氏。同コンサートでは、毎年都内の高校生がオーケストラと共演しており、今年は國學院高等学校吹奏楽部が出演する。(オルタナS編集長=池田 真隆)
同コンサートで演奏するのは、モーツァルトの「交響曲第41番 ハ長調 ジュピター K 551」やブルッフの「ロマンス 作品85」など。國學院高校の吹奏楽部と共演する曲は、ホルストの組曲「惑星」より木星―快楽の神 ジュピター。
伊藤忠商事は1992年からメセナ活動として、NYSEによるコンサートを開いてきた。同社は社会貢献活動基本方針のひとつに、「地域貢献」を掲げており、会場は東京港区にある東京本社のロビーを開放した。
2014年からは音楽による「次世代育成」として、高校生との共演を行い、2015年からはさらに多くの人に音楽の楽しさを伝えるべく、会場をサントリーホール(東京・港)に移し、「サマーコンサート」と称して開催している。
NYSEは若手演奏家を積極的に起用することで知られる。過去には、オーケストラの中に、10歳の少年を入れて演奏したこともある。こうした取り組みをプロデュースしているのは、指揮者の高原氏。
一般的には、プロの音楽家と高校生が同じ舞台に立つことはない。高原氏が若手を起用することにこだわるのは、自分自身が若い頃に師に恵まれなかったという原体験がある。「多感な時期に良い先生に出会うことで、その後の人生が大きく変わっていく」と言う。
高校生にとっては、まさに挑戦の日となる。当日、チケットを購入して訪れるのは、身内だけでなく、耳が肥えたNYSEのファンもいる。さらにプロのオーケストラには外国人も多く、英語が不慣れな場合、コミュニケーションを取ることに苦戦するだろう。
だが、そんな状況だからこそ、「精一杯練習をして演奏したことは一生忘れない体験になる」と高原氏は話す。「言葉は通じないが、共演することで会話を楽しんでほしい。高校生の今だからこそ、挑戦できるものがあるはず」と、高校生に伝える。
指導では、「押し付けないこと」を意識しているという。「音楽は一人ひとり響きが異なり、勝ち負けを競い合うスポーツとは異なり、優劣が目に見えない。だから、その人が持っている才能を伸ばしていくことが大切」。
無名の若手を起用し続けることで、成長を見守れることがなによりの楽しみだと話す。「若い頃に起用した人が、立派な演奏家になって再会できるとたまらなくうれしくなり、心が落ち着く」と微笑む。
【第3回伊藤忠サマーコンサート ニューヨーク・シンフォニック・アンサンブル東京公演2017】
とき:7月24日(月)19時開演
ところ:Bunkamuraオーチャードホール(東京・渋谷)
チケット:S・\4,000 A・\3,000(税込)
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/kashi/20170724.html
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