宮城県気仙沼市で10月11・12日、伝統祭りの「さんま祭り」が復活した。同祭りは、20年近く地元住民に親しまれてきたが、震災後、開催の目処が立たないままだった。このお祭りを復活させた主宰者は、食と音楽、そして若者を軸に盛り上げ、2日間で5000人が訪れた。(オルタナS特派員=松島 香織)

気仙沼高等学校軽音楽部から4バンドが出演

気仙沼高等学校軽音楽部から4バンドが出演

このお祭りを復活させたのは、市内で水産業に携わる山下雅司さん。山下さんは、「地元の若者が誇れるイベント」をめざした。伝統祭りの「さんま祭り」に、食と音楽を融合させて、「気仙沼サンマフェスティバル」に一新した。

山下さんの、「地元の人に楽しんで参加してほしい。市外の人には気仙沼の魅力を知ってもらいたい」という思いに賛同し、16名の実行委員と、地元をはじめ関西、関東からボランティア200名が集まりイベントを支えた。

「気仙沼サンマフェスティバル」実行委員会代表の山下雅司さん

「気仙沼サンマフェスティバル」実行委員会代表の山下雅司さん

ステージには、気仙沼出身や被災地に思いを寄せるプロのミュージシャンと地元高校の軽音楽部が出演した。山下さんは、若者が自分を出せる場所を作りたかったと言う。

サンマは4千尾用意。炭火を使用し、ボランティアが交代で焼いた

サンマは4千尾用意。炭火を使用し、ボランティアが交代で焼いた

東陵高等学校Nigella(ニゲラ)。バンド名には「未来」という花言葉がある

東陵高等学校Nigella(ニゲラ)。バンド名には「未来」という花言葉がある

トップバッターを飾った学校法人畠山学園 東陵高等学校は、吹奏楽部3年の小泉魁斗(かいと)さんが「バンドをやりたい」と部内でメンバーを集めて出演した。

震災復興活動をしている20団体と飲食店7店がブースを出店した

震災復興活動をしている20団体と飲食店7店がブースを出店した

宮城県立気仙沼高等学校からは現役の高校生のほか、東京で音楽活動をしている卒業生が出演。the Revaizは「トリを務められるようになりたい」と話し、the Nice Frankfurtは、「来年も必ず出たい」と目を輝かせた。

顧問の佐々木晋(すすむ)先生は「地元を忘れず出てくれて嬉しい。生徒たちにも、自分たちの活動が地域活性化の一助を担っていることに気づいてほしい」と話した。

山形県の大学でコミュニティデザインを学ぶ小野寺真希さんは、実行委員の一人だ。気仙沼高校在学中に出演したことがあり、今年は「サンマフェスを支えられる人材になりたい」と実行委員に志願した。

小野寺さんは「語り部」として震災の体験や現状を話すボランティアをしている

小野寺さんは「語り部」として震災の体験や現状を話すボランティアをしている

山下さんは「今年は委員として地元の若者が10名も加わり、来年の開催について考えてくれている」と目を細めた。

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