11月14日がインドにおける「子どもの日」だったこともあり、私がボランティアとして関わるイブニング・スクールでも、この日に合わせたイベントが開かれた。今回は、このイブニングスクールにおける、子どもたちの健康増進に関する活動について、簡単に紹介しよう。(オルタナS特派員=小川 美農里)
子どもの日は、インドがイギリスから独立して初めて首相となった、ジャワハルラール・ネルーの誕生日だ。彼が子ども好きで有名であったことから、子どもの日に制定されたそうだ。
イブニング・スクールは、オーロビル周辺のひとつの村に位置し、昼間はヘルス・ヒーリングセンター、夕方にイブニング・スクールを開催する。 日本でいう放課後教室に類似している。5歳〜15歳程度を対象に、自宅では宿題をする十分な時間と場所を確保できない子どものために、環境を整え、大学生のボランティアが宿題を指導し、私のようなボランティアが英語を教えている。
宿題をする以外にも、子どもたちが、健康・環境への関心を高められることが大事にされている。先日は、身近なところで手に入る薬草の効能や知識についての勉強会が開かれた。
インドは公立病院における医療処置は無料だが、病院に到着後の待機時間が長いことや、地方の村では特に、病院へのアクセスがしづらいことなどから、適切な処置がすぐに受けられる状況とはいえない。また、西洋医学だけではなくインドの伝承医学・アーユルヴェーダも医療として公的に認知されており、その中で使用されている薬草の知識や効能を知り適切に使用できるようにすることは、大切な取り組みといえる。
子どもたちは、薬草を自分たちで探し、持ち寄り、楽しみながら勉強会に参加した。
スクールの新たな取り組みとして、17〜19歳(インドでは2年間のカレッジに通う年齢)を対象にした、アルコールの理解を深める勉強会も開始した。
オーロビルの隣に位置するプッドゥチェリ(旧・ポンディチェリ)は、Union Territoryというインドにおける特別区で、アルコール税フリーゾーンとなっており、安価にアルコールが手に入る。そのため、プッドゥチェリ含む周辺地域では、アルコール依存症など、身体的・精神的・心理的・社会的な問題が起こっている。
また、13万人以上が自殺で亡くなっているインド国内で、自殺率が最も高い自治区がプッドゥチェリであり、アルコールと自殺の関係性も専門家の間で示唆されていることから、アルコール摂取に対する取り組みは急務といえる。
参加者からは、「友人との集まりで、アルコールを飲まないといけない時にはどうしたらよいか」「ワインは肌に良いと聞いたが、実際はどうなのか」など積極的な質問が交わされた。勉強会終了後には、個別に相談にきた参加者もおり、家庭内で実際に起こっている問題に対しては、個別対応が必要だ。今後は、年齢・性別を分けて、定期的に開催していく予定だ。
このセンターとイブニング・スクールを運営する女性は、「村では、アルコールの問題は深刻だ。アルコール摂取時に暴力を振るうケースも多い。若い世代から、アルコールについて真剣に考える機会を持ってほしい」と話した。
子どもたちは家庭・社会環境の影響を大きく受ける。そのため、子どもの健康を守り、健康増進となるような活動を多方面からアプローチし、広げていくことが大切だ。
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