電気のない途上国の農村部。もちろん冷蔵庫などはありません。農業で生計を立てている人々にとって、作物が保存できないことは深刻な問題です。しかし、電気も敷かないで、かつ、お金も使わずに誰でも簡単に問題を解決できる方法があるのです。(横浜支局=田才 諒哉・横浜国立大学教育人間科学部4年)
それは、ナイジェリアで生まれた「ポットインポット・クーラー」と呼ばれるもので、農村部の生活を劇的に変えました。
このポットインポット・クーラー、作り方はとてもシンプル。大きいポットの中に小さいポットを入れ、その間のスペースを砂と水で埋めます。この水が蒸発する際、小さいポットから熱を奪い、中が冷えるため、野菜や果物を貯蔵しておけるという仕組みです。
これにより、通常は2~3日しかもたないトマトが、なんと21日も保存しておけるようになったそう。
傷みやすい食べ物を毎日のように市場に運ぶ必要もなくなり、買い手の注文に応じて売ることや、市場に足繁く通っていた子どもたちが学校に通えるようになるなど、農村の暮らしを大きく変えました。
電気を敷く必要などないのです。お金もかからず、誰でも簡単に、現地にあるものだけでできる。開発途上国の支援の現場では、このような「ないものねだりではなく、あるものみっけ」の姿勢が大切なのだと思います。
もしかしたら、先進国に生きる私たちにも同じことが言えるかもしれません。シンプルなアイデアが、世界を大きく変えることだってあるのです。
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