社会貢献型ギャラリーである伊藤忠青山アートスクエアで3月5日から、「日本モンゴル書道展~蒼天と太陽の絆~」が開かれている。同展示会では、安倍晋三首相やモンゴル国のエルベグドルジ大統領ら両国の交流を築いてきた政治家の書道作品89点が飾られている。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
日本とモンゴルの外交関係が始まったのは1972年から。当初、モンゴルは社会主義体制だったが、民主化し、豊富な鉱物資源をもとに急速に発展を遂げてきた。2010年に、エルべグドルジ大統領が初来日して以来、日本との関係も、これまでの「総合的パートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」に変わった。
経済面だけでなく、文化面でも交流を深めている。2014年、日本とモンゴルは文化交流取極締結40周年を迎えた。同展示会も、この40周年記念の一環として昨年8月、ウランバートルで開催された展示会の日本側での開催と位置づけられている。
伊藤忠青山アートスクエアで展示会をすることになったのは、伊藤忠商事の小林洋一副社長が日本モンゴル経済委員会の委員長を務めていることがきっかけ。同社は、モンゴルに事務所を商社の中では最も早く1990年に設立。以来、両国の交流をビジネスで支えてきた。
■民間交流の促進に
3月4日、伊藤忠青山アートスクエアでオープニングセレモニー(内覧会)が開かれ、書道作品を出品した両国の政治家や書道家などが多数参加した。この展示会の主催者である衆議院日本・モンゴル友好議員連盟会長 林幹雄衆議院議員と、参議院日本・モンゴル友好議員連盟会長 江田五月参議院議員が挨拶し、「両国は首脳どうしで活発な交流を行っているが、この展示会を機に、民間交流の促進につながれば」と述べた。
加藤勝信内閣官房副長官は、「日本とモンゴルは大事な友人」と安倍首相からのメッセージを代読した。テープカットには、林議員、江田議員、加藤官房副長官に加えて、安倍首相の母 安倍洋子氏やモンゴル側からガンホヤグ モンゴル・日本友好議員連盟会長、メンドオーヨー モンゴル書道連盟理事長、伊藤忠商事の小林副社長も加わった。
安倍洋子氏はモンゴルの書道作品を見て、「字は読めないが、書かれた文字から伝わってくるものがある。習字の文化は同じだとわかり、つながりを感じる」と感想を述べた。モンゴル書道は日本と同じく毛筆を用いて書かれている。日本と異なるのは、文字と文字が連続しているところだ。
同展示会は、3月5日から3月24日まで。展示されている89の書道作品のうち、34作品は会場内での入札型のオークションで販売することにしている。売上金は、会期中に東日本大震災から4年を迎えることから、東北復興支援に携わる団体に寄付される。「書」を書いた者、また「書」を購入する者が互いに、被災地を忘れないという同じ想いで繋がることができる仕組みだ。
モンゴルと日本は、政治レベルでの友好関係は深まっているが、民間レベルでの交流はまだまだ進んでいないため、知られていないことが多くある。阪神淡路大震災時には、諸外国で最も早く支援に動き、新潟県中越沖地震、東日本大震災でも変わらず日本への支援を行った。行政だけでなく、モンゴルの民間からの支援も増えている。
大相撲でのモンゴル出身力士の活躍により、モンゴルといえば「相撲」というイメージばかりが先行してしまうが、相撲だけではない。例えば、今回の展示作品のように、世界遺産に登録されたモンゴル文字(いわゆる「縦文字」)を用いた書道芸術も存在するのだ。
伊藤忠青山アートスクエアの担当の猪俣恵美氏は、「今回の展示会の実施を通じて両国の相互理解と文化交流に繋がれば」と力を込める。
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