最近、耳にすることの増えた「エシカル」という言葉。様々な場面で用いられるようになったが、まだ若者にとって身近な言葉ではないだろう。そんな「エシカル」を切り口に新たな価値観を発信し、活動を続けるエシカルファッションプランナーの鎌田安里紗さんに話を聞いた。(MAGADIPITA支局=久保田 惟・慶應義塾大学総合政策学部1年)
■新たな価値観の切り口を発信
ファッションモデルとしてのイメージが強い彼女。鎌田さんは、エシカルファッションをテーマにしたスタディツアーやコンテンツメディア「QREATORS」で、「これからの暮らしのヒント」をテーマに10人にインタビューをするなどファッションモデルの枠に囚われない活動を行っている。
高校時代からモデル活動を始め、多くの同世代のファンを獲得し、若者の代表として活動してきたからこそ伝えられるメッセージがあるという。活動の一環として行っているエシカルファッションの普及。この活動自体が目的ではないと鎌田さんは話す。エシカルファッションを切り口に、より根本的で本質的な暮らしを自らが考え、新たな暮らしへとシフトする人が増えて欲しいと想いを述べた。
■暮らしを考えるきっかけを
着るもの・食べるもの・住む場所、暮らしのなかで触れるあらゆるものは他の誰かや地球の資源から生み出され、つながっている。しかし、それを実感として感じることは難しい。それぞれの人が自分なりのやり方でそのつながりを辿り直すことが、社会に関心を持つことになるのだ。それらの考え方が、その人にとっても、地球にとっても、未来にとってもより良い暮らしを送るきっかけになると鎌田さんは話す。
そのためには、自分と社会とのつながりに無関心な人々が「あっ」となるようなきっかけ作りが大切だと話す。昨年5月に新宿伊勢丹で行われた「『#ETHICAL NOW』キャンペーン」。このイベントを監修した鎌田さんは、道行く人が「あっ」となるデザインを心がけたという。
一部の意識の高い人だけがアクションを起こすよりも、一人でも多くの人が自分なりの小さなアクションを起こすことが結果として社会に大きなインパクトを与える。無関心な人が関心を持つまでの一連の流れをデザインする必要があると感じた。
■イマに縛られないチャレンジを
鎌田さんは、自身の活動を通して、自らの大切にしたい価値観を自分自身で認識すること、そしてそれを行動に反映させることの難しさを実感したと話す。ひとりひとり、大切にしたいもの・譲れないものは異なる。重要なのは自分で判断できる軸を持つことだ。各人が自分なりの軸を持ち、社会とのつながりを実感した上で自らの行動を選択して行けば、今よりも少し、あたたかい社会になるはずである。社会を変えるとは、まずは自分が変わること。そんな一歩が、エシカルファッションの根幹にはあるのかもしれない。
12月から続けてきたこの連載企画。今回の鎌田さんへの取材で、最後となる。より良い社会のためにアクションする大人たちのメッセージが一人でも多くの人に届いていれば幸いだ。今後とも、Magadipita支局でも記事を発信していく。そしてMagadipita最新号のVol.4も6月に発行予定なので、そちらもチェックしてほしい。
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