「まぜこぜの社会」をめざして、アートや音楽で、マイノリティーのPR、表現活動を行う一般社団法人Get in touch(ゲットインタッチ 代表:東ちづる)は4月2日から、伊藤忠青山アートスクエアで「Get in touch “Warm Blue”MAZEKOZE Art」を開催する。4月2日は国連が定めた世界自閉症啓発デーであり、同展覧会は、同日のコンセプトカラーである「ブルー」をテーマにした。参加するのは、自閉症などのアーティストに加えて、東ちづるや326、宮本亜門ら30人以上。障がいの有無にかかわらずアーティストが作品を展示し、「まぜこぜ」の空間となる。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

4月2日、青山が青く染まる

4月2日、青山が青く染まる

世界自閉症啓発デーでは、自閉症の理解促進として街中が青く染まる。「ライト・イット・アップ・ブルー(以下LIUB)」と呼ばれる活動で、同日、NY、パリ、ロンドンなど世界136カ国以上の国と地域で取り組まれている。

これまでにエンパイアステートビルディング、エジプトのピラミッド、オペラハウス、ナイアガラの滝など世界的に有名な施設も協力してきた。日本では、厚生労働省などが、東京タワーが青くライトアップするほか大阪城、明石海峡大橋、札幌市時計台など約70の観光施設も青に染まる。

自閉症は先天的な脳の特性で、知的障害を伴う人から並外れた知能を持つ人まで幅広い。その人口は1%を超えるという説もあるが、まだまだ知られていない。特に、知的障がいを持たない場合、言葉の遅れなどが目立たないため、本人の苦労が見過ごされたり、「親のしつけのせい」などと誤解されることも少なくない。特別支援教育が始まり7年が経つが、一日の大半を過ごす学校では、いまだ困難を抱えている子どもたちは多くいるという。

世界自閉症啓発デーに合わせた取り組みは日本各地で行われている。LIUBを進めてきた団体の一つNPO法人あっとオーディズムは、「(自閉症の子どもたちは)暴言、自傷行為などを起こすこともあるが、その症状を『生まれつきの自閉症の特徴』と誤解され、放置されていることもある」とし、自閉症児への理解を深めていくことを訴える。

■「誰も排除しない社会へ」

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Get in touchは「Warm Blue」を合言葉に啓発イベントを行う。2013年から啓発イベントを行い、今年で3年目

4月2日から行われる展覧会の会場となる伊藤忠青山アートスクエアは、伊藤忠商事が社会貢献事業として運営するギャラリー。さまざまな社会的課題を、アートで発信し、理解してもらうことを目的としている。今回は、主催団体のGet in touchが掲げる「障がいの有無にかかわらず、誰も排除しない社会をつくる」というビジョンに共感し、会場提供を行った。

Get in touchは、自閉症も含めた生きづらさを抱える全てのマイノリティ領域への啓発を目的に活動を行う。同団体は、4月2日のコンセプトカラーであるブルーを、自閉症の人が持つ温かさと重ね、「Warm Blue(ウォームブルー)」と名付けた。

Get in touchはWarm Blueに、「人を先入観で決め付けないで、それぞれに異なる個性があることを知ってほしい」という願いを込めた。同団体では、この「Warm Blue」を合言葉に、2013年から啓発イベントを行い、今年で3年目を迎える。

今回の展覧会は、タイトルに「MAZEKOZE(まぜこぜ)」と入っているように、健常者・障がい者が積極的に混じ合ってほしいという企画意図がある。

この考えで企画されたので、参加するアーティストは「まぜこぜ」だ。Get in touch理事長の東ちづるさんや宮本亜門さん、佐々木卓也さん(造形作家・自閉症)など30人以上。それぞれの想いや個性をブルーで表現した。

LIUBは行政や自治体、NPOの協力のもと各施設で行われるが、伊藤忠青山アートスクエアでは、伊藤忠商事が民間企業として同活動に協力している。伊藤忠青山アートスクエア担当の猪俣恵美氏は、「この自閉症啓発デーをきっかけに、より多くの人が『違い』を理解し、受け入れていくことを願い、青い色で、人の心がつながる日を民間レベルで更に盛り上げていきたい」と話す。

伊藤忠青山アートスクエア以外でも青山OM-SQUARE、カメヤマキャンドルハウス青山店、BMW 青山スクエアショールームなどが賛同し、2日に外苑前駅(地下鉄銀座線)周辺の「青山の街を青に変える」プロジェクトが始動する。

Warm Blue◆Get in touch “Warm Blue” MAZEKOZE Art
期間:4月2日(木)~4月24日(金)午前11時~午後7時
場所:伊藤忠青山アートスクエア 
東京都港区北青山2-3-1シーアイプラザB1F
入場料:無料
*11日、18日のイベント開催時には、Get in touchオリジナルグッズの販売を実施。募金した方には缶バッジをプレゼント!

参加アーティスト
東ちづる/石井フィアーナ/イドマサノリ/おがたりこ/尾崎ミオ/オゼキイサム/春日一志/蒲生卓也/川村妙子/菊池啓子/鬼頭純平/小石川ユキ/工房集/佐々木卓也/スギヤマカナヨ/studio COOCA/田久保妙/谷村虎之介/ちくちく/中津川浩章/新倉壮朗/西桐玉樹/塗敦子/ひゅーるぽん/福山六方学園/326/宮本亜門/moriuo (五十音順)

◆会期中イベント
4月2日(木)12時~
Blue アート・ライブペインティングパフォーマンス ※一般公開   
MC:東ちづる
参加予定アーティスト:中津川浩章(美術家)、イドマサノリ(イラストレーター)、スギヤマカナヨ(絵本作家)、小石川ユキ(イラストレーター)、佐々木卓也(造形作家・自閉症)、おがたりこ(アーティスト・ダウン症)など

オープニングイベントとして、テーマカラーのブルーで白いトラックをペイント。どなたでも参加自由!世界に一台のMAZEKOZEブルーアートカーを作りましょう!仕上げられた、MAZEKOZEブルーアートカーは、その後のブルーカードライブに参加して、街中を走ります!
※オープニング当日の来場者には、素敵なブルーアイテムのプレゼントもご用意しています!

4月11日(土) 14時~ 
MAZEKOZE豪華アーティスト集団によるライブペインティング
参加予定アーティスト:佐々木卓也(造形作家・自閉症)、中津川浩章(美術家)など

4月18日(土) 14時~ 
佐藤英里(ひらり)LIVEショー
13歳の全盲の天才シンガーソングライター(昨年11月デビュー)

4月18日(土) 15時半~ 
新倉壮朗(タケオ)LIVEショー
ダウン症のミュージシャンとして多方面で活躍。楽しいステージで子どもから大人まで楽しめます。