鎌倉の鶴岡八幡宮で4月19日、流鏑馬(やぶさめ)が行われた。伝統的な衣装をまとった旗手が、疾走と走る馬に乗り、的を射抜くたびに歓声があがった。国内外から人気が高い伝統行事は盛会に終わったが、事故がなく時間通りに進行できたのは、市や警察だけでなく、地域安全を守る市民団体の存在がある。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
境内につくられた馬場の長さは直線で約250メートル。伝統的な衣装をまとった旗手を乗せた馬たちは、この距離をわずか10秒弱で疾走と駆け抜ける。旗手は武田流一門が務め、設置された3つの的を、次々と射抜き、拍手に合わせて歓声があがった。
日本人だけでなく、海外からの観光客も多く、始まる3時間ほど前からすでに席は埋まり、本殿に向かう中央通路には規制がかけられた。流鏑馬を目当てにしていた観光客だけでなく、通常の参拝客もいたが、事故は起きずに、時間通りに進行した。
すみやかに行事が進んだ影には、市や警察だけでなく、地域安全活動を行う鎌倉ガーディアンズの存在がある。同団体は鎌倉市内で行われる鎌倉花火大会や大船まつりなどの行事の防犯・警備を行っている。設立は2009年で、会員は主に市民で130人いる。同日、鶴岡八幡宮に50人の会員が集まった。集合時刻は朝9時30分。流鏑馬が始まるのが午後1時なので、それまでに事前打ち合わせを行い、事故が起きないように入念に動きを確認した。
鎌倉は日本のナショナルトラスト運動の発祥地で、古くから市民運動が盛んな地域であった。1964年、鶴岡八幡宮の裏山である「御谷(みやつ)の森」が宅地開発の対象となったが、市民が募金を集め、土地を買い取り、開発から守った。
鎌倉は人口17万人だが、年間で1900万人の観光客が訪れる観光名所だ。人が増える分、ゴミや事故件数が増えてしまう。伝統的な行事を事故なく終えて、毎年続けられているのは、鎌倉ガーディアンズのように、その土地を愛し続ける市民団体の存在があるのだ。
◆鎌倉ガーディアンズの公式サイトはこちら
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