その語学勉強の中で、政治の話になった。きっかけは、協力隊同期の一人の出身が、「広島」と話した瞬間だ。「America is Terrorist」。「is」の部分を強調される。「広島に原爆を落とし、罪の無い人々の命を奪った。虐殺だ。今でもアメリカはそんな風に、どこかの国に侵略し、殺し、それから”平和”を語ってる。そして、イスラムをテロリストだ、と吹聴して廻る。おかしな話だ。アメリカこそ、テロリストだ」 60歳を超える敬虔なイスラム教徒の語学の先生は、そんな風に僕らに語る。もう授業はそっちのけだ。「Do you agree with me?」と、「Yes」以外の回答を許さない語調で聞く。

イブラヒム先生

イブラヒム先生

イスラム過激派と呼ばれる人たちがいて、そういった人たちの行動を見た、ある日本人が「イスラム教は、なぜ自爆テロを止めれないのかしらね」と話していた。しかし、自爆テロよりはるかに、米軍の理由なき侵攻の方が多くの人たちが亡くなっている事実はないがしろにされている。

その侵攻では、市民を巻き添えにしたり、化学兵器が実験的に使われていたりするのは言うまでもない。何より、イスラム教徒は、本当に平穏を求めている人たちばかりで、自爆テロや「テロリスト」と定義されるものに指定される人たちがごく一部にしか過ぎないにも関わらず、あたかも同一視されているのだ。

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