外にあふれる患者たち

外にあふれる患者たち

ドクターが保健センターに毎日いない。出勤表には、毎日「出勤」に印がついているのだが、実際は週に1~3回程度である。その原因は「安すぎる給料」にある。助産師で1万5000円、医者で3万円程度しかもらえないため、保健センター以外にプライベートクリニックで働く。ここなら、月20万でさえドクターとしては「中の下」の給料なのである。つまり、保健センターのドクターは、顔だけ出して出勤扱いにしてもらったり、都市部に住んでいる遠さを理由に(交通費は出ない)顔すら出さずに出勤を偽装して、保健センターのお給料はもらいつつも、プライベートクリニックに精を出すのである。

「行っても医者がいるとは限らない」「薬はない」という状況では、本当にお金がなければ利用せざるを得ないが、「頼りにならない」というのが実情であろう。保健センターが近ければともかく、1時間近くかかる距離にあるのであれば尚更だ。(なお、歯科に関しては、歯医者はいるが、設備の不足により検診と抜歯しかできない)

混雑する保健センター

混雑する保健センター

僕が参加しているプロジェクトで実施されていることは、大きく2つあり、1つは「コミュニティヘルスボランティア(CHV)によるメッセージ伝達」、もうひとつが「地域に点在する保健センターの質の向上」である。後者について、具体的には、機材提供(エコー等)、技術研修、マネージメント強化(カルテや報告書の作成と提出)、部屋割りの変更や看板設置(何の部屋かを示すための)などを行なっている。また、保健センターの役割について、予防接種以外知られていないことがあり、その広報もしている。

しかし、実感として保健センターへの信用はまだまだ低いと言わざるを得ない。だが「わが子に予防接種を」と姿勢から感じ取れる子どもへの愛情は紛れも無い事実であり、予防接種以外にも様々な「健康」へのアプローチをしていくことは、きっとここの人たちが望んでいることのはずだ。素敵な笑顔をくれる、ここに住む人たちが、もっと幸せになるような、そんな活動ができれば良いなと思う。「幸せのために仕事をする」という実感って、すごく素敵なワクワクと、力をくれる。

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