オルタナは10月1日、書籍「未来に選ばれる会社」の出版記念セミナーを開いた。セミナーのテーマは、「B2B2C2S(社会)」。B2B企業が社会にアプローチするための、戦略を話し合った。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
ゲストには、「未来に選ばれる会社」で取材した日立製作所情報・通信システム社でブランド戦略部担当部長とCSR部担当部長を兼務する増田典生氏を迎えた。増田氏は、「B2B2C2S」という言葉を生み出した人物で、B2Bビジネスは、CSR/CSVの展開において不利だと言われているが、増田氏は「そんなことは無い」と言い切る。
■CSRの社内浸透、ミドル層に
CSR担当者が抱える悩みの一つに、「社内浸透」がある。増田氏は、社内浸透を進めるために、「部長・本部長などのミドル層を変えていった」と話す。「若手社員はCSRやプロボノに興味を持ち、企業が社会的課題を解決していけば、企業価値が向上すると理解している。問題はミドル層。ここの意識を変えていくために、企画本部長向けのマテリアリティを決めるワークショップを開いた」。
ワークショップでは、横軸に事業の優先度、縦軸に社会からの要請度を定めて、マトリクスを作成した。増田氏によると、横軸は普段から意識しているので、すぐ作成できたが、縦軸で事業を分けたときに本部長に変化があったという。本部長からは「社会からの要請だと思っていたが、実は顧客要請で見ていたことに気付いた」という声があがった。
増田氏は、営業向けのワークショップも実施した。その目的は、同社の在庫管理システムを他社と差別化するため。社会的課題の解決につながるというストーリーをつくった。ワークショップでは、社会的課題について話したので、「世の中のトレンドを先取りすることにもなった」という声も出た。
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