登壇した工業デザイナーの奥山清行氏は、デザインをするうえで大切にしていることは、「お客様のことを徹底的に考えること」とした。自動車や電車など利用年数が長いものをつくってきたので、「そのお客様の5年、10年先の姿を想像しながらデザインする」と話した。
ただ、人の将来を想像することは困難であり、そのため、「大切な人の5年後の誕生日プレゼントを考えること」で想像力をふくらますという。「大切な人の将来を考えていくうちに、矢印が自分自身に戻ってきて、結局、自分の好きなものに行き着く。自分の好きなことをしていくことで、先の将来をデザインしてきた」(奥山氏)。
NRIの谷川史郎理事長は、2030年の日本は、人口知能の発達など情報技術の革新で、産業構造が大きく変化すると予測する。人口知能の一つの例に自動運転技術がある。この性能が上がれば、人より安全に運転できるようになり、もしかしたら人が運転することが禁止されるかもしれない。そうなると、その影響を受けるのが、損害保険業界。自動車の運転事故のリスクが減ると自動車保険の加入率にも響くため、グーグルの参入は脅威となる。
自動運転でのカーシェアリングができれば、渋滞の解消、道路整備費削減、駐車場整備不要などで、自動車の稼働率は大幅に上がるが、その反面、自動車の生産台数は減っていく。
このように、産業構造が変化するため、今の小学生の65%が現在存在していない職業に就くだろうといわれている。
人口知能が発達した社会では、経営者は経営がプログラミングされた「相棒」を持ち、主婦は料理や洗濯などの家事がプログラミングされた「相棒」を持つかもしれない。そのような社会で、人らしさを保つためにはどうしたらよいのか。宇宙飛行士の山崎直子氏は、「利他の精神を持つことで、人らしく生きていける」と考える。
情報技術が上がって、効率よく自分だけの利益を考えるのではなく、「誰かのことも考えることを、相棒に教えていけば、優れた人口知能ができるはず」と話した。
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