ノルウェーのオスロ大学で、11月12、13日にリオ+20(「国連持続可能な開発会議」)の採択に対する北欧の大学の役割を議論する会議が2日間にわたって行われた。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイスランドの大学の環境コーディネーターや研究者、学生たちが参加し、各大学でどのようにサステイナビリティな活動が実行されているのかという報告書を元に、様々な観点から大学における持続可能な未来に対する取り組みについて議論された。(早稲田大学高野ゼミ支局長=石黒 真彩・早稲田大学文化構想学部3年)

17項目の持続可能な開発目標にどのように大学が関われるかというテーマのプレゼンテーションから2日間の会議が始まった

17項目の持続可能な開発目標にどのように大学が関われるかというテーマのプレゼンテーションから2日間の会議が始まった

アイスランドの環境コーディネーターは、数年前までアイスランドでは誰も持続可能性は問題にしなかったと語った。さらに「この場で取り上げられている議題は政治的な議論にもなるべきだ。どのように政治的な場でこの議論を始めるのかが非常に重要だ。大学から議論を巻き起こすことは、社会に対して、『私たちの社会に持続可能性な取り組みがどのような価値をもたらすのか』という疑問を投げかけるツールになるだろう」と話した。

北欧各国でもそれぞれの国の特徴は違う。たとえばノルウェーの大学での持続可能な取り組みは、効果的なエネルギーの使い方に重点をおいている。一方でスウェーデンでは、北欧全体でも課題となっている、教育者の持続可能性に関する知識の向上に力を入れている。

各国ともサステイナブルリテラシーテストという試験を各大学で取り入れることに大変意欲的であり、すでに施行のための準備段階に進んでいる大学も見られた。日本ではサステイナブルキャンパス推進協議会「CAS-Net JAPAN(Campus Sustainability Network in Japan」がサステイナブルリテラシーテストを日本で実施するための地域パートナーとなっている。

北欧各国の持続可能な取り組みに対する特徴と、どのように連帯しあえるかどいうことをワークショップ形式で話し合う。

北欧各国の持続可能な取り組みに対する特徴と、どのように連帯しあえるかどいうことをワークショップ形式で話し合う

北欧各国の持続可能な取り組みに対する特徴と、どのように連帯しあえるかどいうことをワークショップ形式で話し合う

印象的だったのは、会議のあとの学生主催のポスト会議だ。会議の終了後、会議に参加した様々な学生団体のリーダーたちは再度集まり同じテーマを学生たちの視点で話し合った。自分たちが大学で起こせるアクションについての議論が止まらない。彼らにとって、大学は自分たちの所属する場所というよりも、むしろ自分たちも作り上げていく場所なのだ。普段はそれぞれ別の学生団体やNGOで活躍している彼らは互いの団体が連帯することの大切さも話し合った。

「会議は各国の報告がメインのキックスタートに過ぎない。ポスト会議こそがこれから私たちに出来ることを話し合う、最も大切なパートだった」と語るポスト会議の会議長の言葉は力強く頼もしかった。

ポスト会議に参加した学生たち。それぞれ違う学生団体や、NGOに所属している

ポスト会議に参加した学生たち。それぞれ違う学生団体や、NGOに所属している

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