企業やNPOなどからなる寄付月間推進委員会は12月7日、寄付月間創設記念シンポジウムを開いた。日本の個人寄付金額は、米国と比べると、わずか3%以下。記念シンポジウムでは、日本の寄付市場を拡大していく方法について話し合われた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

記念シンポジウムでは、日本ファンドレイジング協会の鵜尾雅隆さんがモデレーターを務め、寄付の大切さについて話し合われた=12月7日、国連大学

記念シンポジウムでは、日本ファンドレイジング協会の鵜尾雅隆さんがモデレーターを務め、寄付の大切さについて話し合われた=12月7日、国連大学

寄付月間とは、寄付に対する行動を促すことを制定した月間のこと。この流れに賛同した団体は91あり、12月31日まで全国各地で、賛同団体によるイベントやキャンペーンが展開される。実施される企画には、Yahoo!が展開する著名人によるチャリティーオークション、あいちコミュニティ財団が行う、居酒屋でビールを注文するごとに子ども支援団体への寄付になるキャンペーン、そしてビル・ゲイツ氏と連携したイベントなどがある。

同委員会は7日、寄付月間に関する記念シンポジウムを開き、小宮山宏委員長は、「一人ひとりが個人として、この運動に参加し、寄付の風土をつくりたい」と意気込みを話した。登壇した野球解説者の古田敦也さんも、「分析や論理を語り合うよりも、寄付へのアクションを起こしていきたい」と、行動することの大切さを訴えた。

日本ファンドレイジング協会が発行した『寄付白書2015』では、寄付額は年々増えていき、2014年度の個人寄付額は7409億円で、4410万人が寄付をしたとされている。15歳以上の人口が1億114万人なので、寄付者は43.6%と、およそ2人に1人の割合でいる。

児童労働問題の解決へ動くNGO ACE(エース、東京・台東)の代表理事・岩附由香さんは、「寄付は税金と違い、寄付者がお金の使い道を選べる」と説明し、「エースの年間予算は8000万円で、その内64%が寄付で成り立っている。寄付があったから、ここまで活動を続けてこれた」と寄付の大切さについて話した。

■日本は米国の3%

米国の2014年度の寄付金額は27兆3504億円で、日本はその額と比べるとわずか3%以下である。この違いについて、小宮山委員長は「ファンドレイザーの存在」と言う。小宮山委員長は東京大学総長時代に、米国の大学関係者に寄付の集め方についてたずねた。すると、「ハーバード大学ではファンドレイザーを450人も雇っていた。彼らは、単純に、『寄付をお願いします』と依頼するのではなく、(寄付金で)大学がやりたいことを具体的に伝えて、寄付を集めていることが分かった」。

日本で寄付を広げていくためには、ジャパンギビング代表理事の佐藤大吾さんは、「寄付額ではなく、参加者数を増やしていくことが大切。NPOが大切にすべき指標の一つが、活動に参加した人数。企業と異なり、売上ではない。どうすれば人数を増やせるのかという視点で物事を考えていくべき」と話した。

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