NPO法人地球対話ラボは2015年年末、宮城県の日本海側に位置する島・宮戸島で、「地球対話」を開いた。このイベントでは、宮戸小学校の小学生とインドネシア・アチェ州に住む子どもたちがテレビ電話を通して交流した。ともに震災の津波被害を経験した子どもたちどうし、抱えている思いを明かした。(学生による被災地支援のための市民メディアプロジェクト支局=熊耳 優太・武蔵大学社会学部3年)

子どもたちが対話している様子。地球対話では、アフガニスタンやイラク、ブータンなど、多くの国々と対話・交流を行ってきた。

子どもたちが対話している様子。地球対話では、アフガニスタンやイラク、ブータンなど、多くの国々と対話・交流を行ってきた。

インドネシア・アチェでは、2004年に発生したスマトラ島沖地震により被災し、13万人以上の人々が亡くなってしまった。現在でも3万人以上の方が行方不明となり、その爪痕は今も見ることができる。宮戸島でも、2011年に発生した東日本大震災で多くの人が亡くなり、海岸沿いは家が流され野原が続いている。

そのように同じ背景を持つ子どもたちが、お互いに顔を合わせて対話をすることで、異文化理解を深めることがこのプロジェクトの目的だ。今後の被災地復興の担い手になるであろう子どもたちの将来を見据えた活動でもある。

今回の「地球対話」では、約1時間通訳を通して子どもたち同士で対話を行った。あらかじめお互いに準備していた、「宮戸・アチェのお友達に伝えたい事」を発表し合い、その中から生まれてきた興味や関心、疑問について質問し合った。なかでも、アチェの子どもたちが実物を見せてくれたドリアンには、宮戸島の子どもたちから質問が集中した。

「宮戸・アチェのお友達に伝えたい事」を発表している様子

「宮戸・アチェのお友達に伝えたい事」を発表している様子

テレビ電話では伝えることのできない、独特な香りと、その装いからは想像もできないような甘さについて、気になっている様子だった。はじめはお互い少し緊張した面持ちだったが、対話を進める毎に、お互いへの興味が高まり、緊張もほぐれ次第に笑顔が増えていくのが見て取れた。

宮戸島とアチェ――約5000キロという途方もない距離を、微塵も感じさせない地球対話で、子どもたち同士の異文化理解を深めることができたようであった。今後、宮戸小学校は閉校・統合され、新たに宮野森小学校として生まれ変わる。今後の活動にも注目していきたい。

[showwhatsnew]