NPO法人アニマルライツセンター(東京・渋谷)は、2015年に国内の毛皮消費のために約167万頭の動物が犠牲になったと発表した。財務省の貿易統計では2015年、毛皮付き衣料(付属品、帽子含む)の輸入量は、点数にして4,271,681点、重量は2,188,900キロだった。2014年と比較すると点数は32%減、重量は36%減で、犠牲数は同団体調べでは約89万頭減った。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

犠牲数は約167万頭と膨大な数に及ぶが、毛皮消費は年々減っている。昨年から引き続き、羊またはやぎの中国からの毛皮輸入量は増えているが、キツネ、ウサギ、ミンクなどの動物の毛皮輸入量は減った。毛皮付きの衣料品、付属品は4年連続で減っている。

社会の毛皮に対する見方も変わりつつある。同団体が2014年に行った意識調査では、「毛皮を購入する」と答えた人は8%に過ぎなかった。この声を受け、2015年はファストファッションだけでなくラグジュアリーブランドのHUGO BOSSやアシックスなど、国内でも毛皮を使わないと宣言した企業が増えた。タレントのローラは、SNSに「I don’t wear real fur❤」と投稿し話題となった。

この流れは、日本だけでなく世界的な流れでもある。2016年2月14日、オランダでのミンクの毛皮生産を禁止する裁判での判決文の中には、「この流れは、動物福祉に関連したことではなく、毛皮生産のために動物を飼育することが倫理的に受け入れられていないという考えからきている」と明記された。

毛皮は有史以来防寒具として使われてきた。しかし、人道や環境に配慮した、よりエシカルな生産方法で、おしゃれな衣類が生まれているなか、毛皮のために動物を犠牲にすることが許されなくなっている傾向が伺える。アニマルライツセンターは、「私たちは、毛皮を使わないでおしゃれを十分に楽しむこともできます。日本の素晴らしい技術は、エコファー製品を年々良い物に変えてきています。毛皮を買わない、毛皮がついた商品を買わない、エコファー製品を選ぶ、そういった『正しい』消費が求められる時代です。『ファッションに動物の犠牲はいらない』それが当たり前になることを目指しています」と断言する。

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