2016年2月22日、ニュージーランド、クライストチャーチでの地震から、5年という大きな節目を迎えた。当日クライストチャーチでは、特設会場が設けられ、メモリアルサービスとして追悼式が行われた。5年という節目を迎えたこの街は、復興への新しいビジョンを街中の至る所に掲げている。(学生による被災地支援のための市民メディアプロジェクト支局=西 樹利香・武蔵大学社会学部3年)

ボタニックガーデンでの追悼式の様子

ボタニックガーデンでの追悼式の様子

2011年2月22日12時51分、ニュージーランド、カンタベリー地方にM6.1の大きな地震が襲った。そんな中でクライストチャーチは甚大な被害を受けた。あれから5年が経った市の中心街は、未だに崩かけた手付かずの建物ばかりである。毎日工事の音が鳴り響き、建物を崩していく音が聞こえる。レッドゾーンと呼ばれる立ち入り禁止区域も未だ存在する。

そんな中、5年目を迎えたのである。当日は、シティーで特設会場が組まれ、追悼式が行われた。多くの人々が訪れ、皆が空を見つめる。やがて代表者が、被害にあった人々の名前を丁寧に読み上げていく。その中には日本人で被害にあわれた方の名前もあった。12時51分には1分間の黙祷がささげられた。辺り一面は静寂に包まれ、ただ夏の蝉の鳴き声が響き渡る。それと同時に2回の鐘が鳴り響く。涙を流し、抱き合う人もいる。

災害によってもたらされた悲しみは、人の力ではどうしようも出来ないほど大きな力である。しかし、一度得た経験を忘れず語り継いでいくことが、生かされている私たちの責任なのではないだろうか。一年に一度、国境、人種を超えて人々が同じ想いで記憶を紡ぎ、哀しみを共有する。そして、誰もが復興を願い、過去を見つめる。“忘れないこと”が、最大の継承である。この日、街はたくさんの花で彩られた。“ガーデンシティー”と呼ばれるこの街にふさわしい色とりどりの想いが花と一緒に添えられた。

祭壇に捧げられた花々

祭壇に捧げられた花々

現在、クライストチャーチは大地震を経て、大きく変化しようとしている。街の未来のビジョンがパネルとして街の至る所に置かれ、そこに住む人々だけではなく、観光で訪れた人に対しても知ってもらう工夫が施されている。また、仮設大聖堂Cardboard Cathedralやコンテナを利用したショッピングモールRe:Startなど、新しい観光スポットもいくつか建設されている。

災害という経験を経て、新しい価値を生み出していく。クライストチャーチのこれからの復興への取り組みに目を向けていきたい。

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