法定雇用率(2.0%)を達成している企業の割合が47.2%(2015年6月時点)と過半数に満たないなか、ANA(全日本空輸)は2015年4月、グループ全37社で法定雇用率を達成した。担当者は、「障がい者雇用はコンプライアンスや社会福祉のためではなく、強い組織になるため」と言い切る。(MAGADIPITA支局=久保田 惟・慶應義塾大学総合政策学部1年)

ANA平田氏

ANAグループ障がい者雇用推進室主要部員の平田氏

ANAグループは障がい者雇用を推進していくために、行動規範「3万6千人のスタート」を策定した。グループ各社の人事担当者と障がいのある社員合計50人ほどによって、議論を重ね、障がい者を雇用することの考えなどをまとめた。

この行動規範をグループ全体で共有し、社員に多様性の重要度を理解するように求めた。平田邦夫・ANAグループ障がい者雇用推進室主要部員は、「障がい者雇用は、コンプライアンスや社会福祉の為に行っているのではなく、もっと強いANAグループになるための取り組みだと考えている」と話す。

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ANAグループは、航空業界初の特例子会社を持つ。ANAウィングフェローズ・ヴイ王子株式会社(東京・大田)だ。同社は、外販事業としてコンビニエンスストアの運営を行っている。重視しているのは、個々人がやりがいを持って働ける環境を作り出すことだという。様々な仕事を全て一人で担当するのではなく、互いに強みを生かし、チームで仕事に取り組んでもらうことが大切だと平田氏は話す。

現場でいきいきとやりがいをもって働く社員のがんばりは周囲にも伝わる。聴覚に障がいがある社員に、お客さんの方から手話で挨拶をしてくれることもあるという。障がいが弱みにならず、むしろお客さんとの結びつきを強めるきっかけになっている。

若いうちに「原点」となる経験を積んでほしいと伝える

若いうちに「原点」となる経験を積んでほしいと伝える

これらの障がい者雇用で重要になるのは、継続し、次の世代にも受け継いでいくことだと平田氏は述べた。

そのためには、後継者となる次の世代の人たちが「何を受け継がなければならないのか」と考え、自分なりの着眼点を持つ必要がある。従来の障がい者雇用に関する知識はもちろん、自分の中で何をすべきかを判断する価値基準を持つことが重要だ。その価値基準は、様々なモノゴトに積極的に触れなければ手に入らない。経験をすると、自分の原点が生まれる。その機会を見逃さないで欲しいと平田氏はエールを送った。

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