サステナブル・ブランド国際会議2017東京で、テラサイクル創業者のトム・ザッキーCEOが登壇した。テラサイクルはP&GやJTなど、さまざまな企業と連携してリサイクルを推進している。多くの廃棄物が海に捨てられており、そのうちリサイクル可能なのはわずか数パーセントで、それ以外は焼却している。日本では廃棄物の7割を焼却しているという。ザッキーCEOは、廃棄する以外に何か方法はないかと考えて、テラサイクルを立ち上げた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

リサイクルを通した社会変革について話したトム・ザッキーCEO (写真=廣瀬 真也・spread)

「なぜリサイクルといえばアルミ缶を連想するのでしょうか」とザッキーCEOは会場に問いかけた。それは利益が生まれるからだ。だが、多くの消費物がリサイクルできるのに、利益が出ないからと回収しないままだという。そこで、同社は企業とパートナーを組むことで、一緒に責任を持って回収することを呼び掛けている。

世界21カ国に拠点を持ち、日本法人を立ち上げて3年が経過した。日本では、JT傘下のトゥルースピリットタバコカンパニーと組み、タバコの吸殻回収を行っている。すでに現在約1000カ所から約1億本の吸殻を収集した。このプロジェクトは日本初で、誰でも参加できる。ライオンと組み、使用済み歯ブラシの回収も行っている。花王とは食品パッケージのリサイクルを行おうと考えているという。

「企業は私たちとリサイクルをすることで、地域コミュニティーにも貢献できます。そして、そのことが企業の利益にもつながります」とザッキーCEOは強調した。

廃棄物会社は埋め立てすることで利益を出しているが、ドイツでもロンドンでもブラジルでもアップサイクルが盛んで、ゴミからコーヒーの容器やサッカーボールなど新商品を作っているという。コンドームもリサイクルできる。伸張性があるので、凍結させてからハンマーで破壊してプラスチックにし、化粧品のパッケージなどに活用できる。汚れた紙おむつも、オランダでリサイクルしている。

同社は今年1月の世界経済フォーラムで、P&G、SUEZ(スエズ)とともに、ビーチの漂流ゴミから、ヘアケア製品「h&s」のリサイクルボトルを製造販売するプロジェクトを発表した。欧州の海洋投棄問題を解決するために始めたプロジェクトで、海に捨てられたプラスチックのゴミを集め、分別してシャンプーボトルの材料にしている。

このプロジェクトで海洋のゴミの25%を回収でき、ボトルを生産するエネルギーを19%下げることに成功したという。

日本で発売されているh&sのボトルは青だが、このプロジェクトでリサイクルされたボトルはグレーだ。消費者はグレーのボトルを購入することで、プロジェクトに参加することができる。売上も大変好評で、多くのメディアにも取り上げられた。

「消費者はただの消費者ではなくなっている。いまは意欲を持っている。単純な消費よりも、何かの目的を果たすための消費を選ぶ。企業の社員もそうだ。給料だけでなく、目的を果たすための仕事に重要さを感じる。目的意識を共有して、プロジェクトに巻き込んでいくことが勝利のカギ」とザッキーCEOは締めくくった。

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