住友理工は6月25日、住友理工学生小論文アワードの表彰式をJPタワー名古屋(名古屋駅直結)で開く。式には、特別ゲストとして、タレントの春香クリスティーンさんを迎え、「グローバル企業」をテーマにトークイベントを行う。定員は100人で、参加費は無料。(オルタナS編集部)

春香クリスティーンさん

春香クリスティーンさん

住友理工は、大学生・大学院生・留学生らを対象にした「住友理工学生小論文アワード」を開催した。募集した小論文のテーマは「真のグローバル企業とは――こんな会社で働きたい」。グローバル企業の「あるべき姿」について、企業組織論、ダイバーシティ、CSRなどの点から考えてもらった。2016年1月15日から4月15日まで受け付け、全国から106本の小論文が応募された。

表彰式では特別ゲストにタレントの春香クリスティーンさんを迎える。基調講演として、春香さんに「エシカルな働き方」をテーマに講演してもらい、その後、受賞した学生も交えてのトークイベントを行う。トークイベントのテーマは、「真のグローバル企業とは」。司会は、名古屋でフェアトレード推進活動を行う原田さとみさんが務める。

同アワードでは、住友理工社員や有識者らによる選考を経て、各賞が決められる。最優秀論文には賞金100万円(1人)、最優秀次席は50万円(1人)、優秀賞は10万円(3人)、審査員特別賞(2人)には記念品が贈られる。

審査員は5人。河口真理子・大和総研調査本部主席研究員(審査委員長)、佐野良雄・名古屋大学大学院経済学研究科教授、中島佳織・特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長、戸成司朗・住友理工 CSR・社会貢献室長、森摂・オルタナ編集長。

昨年度のアワードでは、法政大学人間環境学部の長谷川直哉ゼミからは2組が入賞した。左から、最優秀賞を受賞した小坂幸美さん、福屋さん、久米裕梨子さん、優秀賞を受賞した千嶌健太さん=2015年6月

昨年度のアワードでは、法政大学人間環境学部の長谷川直哉ゼミからは2組が入賞した。左から、最優秀賞を受賞した小坂幸美さん、福屋さん、久米裕梨子さん、優秀賞を受賞した千嶌健太さん=2015年6月

【第2回住友理工 学生小論文アワード表彰式】
とき:2016年6月25日(土)14:00~16:30(13:40開場)
ところ:JPタワー名古屋 ホール(名古屋駅直結)
参加費:無料
定員:100名 *住友理工 学生小論文アワードに応募していなくても参加可
*表彰式にはドレスコードはございませんので、ご自由な服装でお越しください
申し込みはこちらから

春香クリスティーンさん
◆特別ゲスト
春香クリスティーン:
スイス連邦チューリッヒ市で、日本人の父とスイス人に生まれる。
高校2年生の頃「笑点」「エンタの神様」「世界の中心で愛を叫ぶ」などに感化され、単身来日。
2010年、日本の芸人さんのギャグを4ヶ国語でモノマネをし、テレビに出始める。

原田さとみさん
◆司会
原田さとみ:
エシカル・ペネロープ株式会社 代表取締役
フェアトレード名古屋ネットワークFTNN 代表
JICA中部オフィシャルサポーター
1987年モデルデビュー後、東海圏を中心にタレントとして活動。パリ留学を経て、名古屋にて洋服のお店を経営。その後、エシカル・ペネロープ(株)設立し、名古屋テレビ塔1階にフェアトレード&エシカル・ファッションのセレクトショップ「エシカル・ペネロープ TV TOWER」を経営。環境・人・社会に配慮した“思いやり”のエシカル理念普及とともに、貧困削減・環境保護・地域貢献につながるフェアトレードを推進。名古屋でのフェアトレードタウン運動の取り組みが実り、2015年9月19日名古屋市をフェアトレードタウン認定都市とする。www.satomiharada.com

◆受賞学生一覧
*各賞の発表は表彰式当日に発表します
*受賞者(7人)と春香クリスティーンさんで、「真のグローバル企業」をテーマにトークイベントを開きます
・井上はるかさん(早稲田大学文学部3年)
小論文タイトル:次世代のために今できること「心のグローバル化」
小論文要約:
グローバル化により語学や留学経験等が重視される中で、重要度が低い部分がある。それは異文化を理解し受け入れるという内面の部分。一般的に異文化マネジメントと呼ばれる分野である。筆者は本稿において異文化マネジメントを「心のグローバル化」と呼んでいる。グローバル化が進み、以後も止まることなく進むことが予想される今だからこそ、「心のグローバル化」を達成する必要がある。これは筆者自身の体験が背景にある。異文化理解における現状と課題を分析し、企業で実践できる提案を中心に構成している。「心のグローバル化」を心がける人材が増えることが次世代のためにできることだと考える。

・金川聖也さん(北海道大学経済学部3年)
小論文タイトル:グローバル企業の果たすべき社会的責任 —納税マインドによる真のグローバル企業への昇華—
小論文要約:
真のグローバル企業とは、昨今問題となっているアグレッシブな租税回避行動を行わず、グローバル化を推進する主体である国家社会の維持発展に貢献しようとする”納税マインド”を備えた企業である。自社の利益追求を動機とした租税回避行動による税源侵食は理論的にも社会的にも抑制されるべきであり、企業は租税の応能負担による社会的責任を果たさなくてはならない。そして納税はCSRの一環であることから、近年のコーポレートガバナンスを重視する潮流と、国際的な租税回避行動への批判の高まりとともに、租税回避を行わない企業は一般市民や投資家から高い評価と賞賛を得ることができるようになると考えられる。したがって、租税回避行動による短期的な利益追求ではなく、適正額の納税を通じた国家社会との協調による中長期的な利益追求を行うことで、グローバル企業は自らを真にグローバルな企業に昇華させることができるのである。

・鎌田安里紗さん(慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科2年)
小論文タイトル:サプライチェーンから考えるグローバル企業のあるべき姿ー個人の共感力と組織としての企業の責任−
小論文要約:
情報通信技術の革新的な進歩と急速なグローバル化によって、企業の生産拠点と販売拠点は世界各地に広がり、そのサプライチェーンは複雑かつ不透明なものになっている。しかし、サプライヤーに環境破壊や人権侵害といった社会問題が発生すると、発注元の企業も責任を問われるケースが増えており、グローバル経営においてサプライヤーへの倫理的配慮は極めて重要である。本稿では、グローバル経営におけるサプライチェーンマネジメント(SCM)に関する問題を具体的な事例を交えて概観すると同時に、サプライチェーンへの企業の責任を高める方策として、企業に属する個々人の「共感力」を高めるという視点を提案する。そして、組織としての企業の在り方だけでなく、組織に属する個人の在り方から真にグローバルな企業について考察する。

城宝薫さん(今春立教大学卒業)
小論文タイトル:利益の創造と社会への貢献を同時に実現する想いを持つ企業が真にグローバル企業となり得る-CSV企業と私の挑戦から―
小論文要約:
現代社会は地球温暖化や途上国の貧困、少子高齢化や地方の過疎化など、実に多くの社会課題が存在している。100年後の地球のことを考えるとをはじめ、100年後の社会をつくる意識を持って企業のあるべき姿を見直す必要がある。来世に生きる人のためにも、課題解決を行う企業が増える必要があると私自身だけでなく未来を担う学生は考えており、そうした会社で働きたいという意見はとても多い。一方で、課題解決を行うためには継続的に取り組む必要があり、利益を創造しながら社会貢献を行うモデルの方が優れているというのは明らかだ。こうした利益と社会貢献を両立させる活動はCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)と呼ばれて注目されているが、これは新しい概念であり、日本ではまだあまり知られていない。本論文では、世界に展開しているというだけではなく、どの地域でも受け入れられる想いと共感される企業姿勢を持つことこそ必要であることを論じる。私は、この共通価値を創造することを目指す企業こそが真のグローバル企業になれると信じている。

・高橋祐人さん(東京大学大学院新領域創成科学研究科修士1年)
小論文タイトル:グローバル企業における企業理念の重要性
小論文要約:
本稿では、グローバル企業のあるべき姿と、働きたいと思える企業がどのようなものかを題材とし、グローバル化の現状や行動心理学などの視点を取り入れながら論を展開した。まずグローバル経済下において行われるべき企業活動とは、世界全体としてのパレート効率性の向上に貢献するものである。そのためには世界で通用する高い技術とグローバルな情報の活用が重要である。また、働きたいと思う企業の在り方として、社員の内発的動機づけを活かす体制が望ましい。これら2つを獲得するため、まず企業理念としてグローバルに普遍的な社会課題の解決を設定し、社内に浸透させるべきである。その志高い目的に向かう視点を持ってグローバルな情報や人材を活用することで、生産性・満足度ともに高い企業活動となり、真にグローバルな企業と呼ぶにふさわしくなると考える。また、一人の社会活動従事者として、業界にそうした文化を広げていってもらいたいと願う。

藤田このむさん(神戸大学農学部3年)
小論文タイトル:多様性は何の母?-夢を紡ぎ、企業の一員へと成長する場の提供-
小論文要約:
筆者が働きたい企業は、様々な視点からの発言が活発に行われ、刺激とアイデアに満ちた柔軟的な企業である。筆者の理想の企業を実現させるには、さらなる多様性が必要だ。さまざまな背景を持った人が対等に意見を交わさなければならない。筆者は今回、貧困ラインを下回る高校生に対象を絞り、彼らを高校入学の時点で雇用し、全寮制の寮で3年間の研修を経て企業にとって強力な戦力へと育てる制度を提案する。具体的には、筆者が大多数の大卒新入社員と対等な関係を持つために必要だと考えた5つ(発表する力、コミュニケーション能力、時事問題への知識とそれに対する意見、リーダーシップ、資料をまとめて見せる力)に関しての講義、自社でのインターンシップなどである。この制度は寮生・同期の新入社員・企業・寮生以外の貧困層の4方向へ良い影響をもたらす。これは援助でなく、投資である。世界で戦っていく企業として、多様性をもった会社を目指す作戦だ。

・森翔人さん(法政大学大学院人間社会研究科1年)
小論文タイトル:社会的に責任あるビジネス(socially responsible business)を目指して〜CSVの検討とCSRの再認識〜
小論文要約:
約80%の日本の若者が「社会的責任を軽視する企業は存続できない」と考えている。ミレニアル世代と呼ばれる彼らが求める企業のあるべき姿とは何だろうか。世界的な戦略論の大家であるポーターらのCreating Shared Value(CSV)は、いくつかの強みをもつ反面、既存のCSRに関する議論を踏まえきれていないなど問題点を含んでいる。本論では日本企業が安易に「CSRからCSVへ」という図式に“飛びつく”ケースが散見される現状に対し警鐘を鳴らしたい。その上で、ミレニアル世代が働きたい企業は“「社会的に責任あるビジネス」を追求する企業”であり、これが真にグローバルな企業のあるべき姿であると主張する。そのためのポイントとして①企業の「社会性」に対する認識の拡大、②「誠実さ」の向上、③戦略的パートナーシップを活用した社会的価値の創出、④オープン・イノベーションを活用した社会的課題の解決 の4点を挙げる。

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