オルタナSは6月15日、武蔵大学江古田キャンパスでソーシャルビジネスを研究する自主ゼミを開いた。このゼミは、武蔵大学社会学部メディア社会学科松本ゼミの協力のもと、毎月1回実施されている。第3回目の開催となったこの日は、「社会性のある事業の広報戦略」について学んだ。キーワードは「ぐるぐると、いじわるに」だ。(武蔵大学松本ゼミ支局=舛田 貴司・武蔵大学社会学部メディア社会学科3年)

情報拡散量と情報認知量についての格差を説明する加形氏とそれについて真剣に耳を傾ける受講者

情報拡散量と情報認知量についての格差を説明する加形氏とそれについて真剣に耳を傾ける受講者

講師は、電通でマーケティングプランナーを担当しながら、NPO団体の広報支援を行っている特定非営利活動法人NPOコミュニケーション支援機構(a-con)理事長の加形拓也氏。

マーケティングプランナーの仕事は、戦略を考えること。クライアントから依頼を受け、誰に、どのように伝えれば良いのかを調べ、クリエイティブ(コピーライターなど)に相談する。

長年、さまざまな商品のPRに携わってきた加形氏は、商品を伝えていく上で最も大切なこととして、「誰の、何のために」を深く考えていくべきと話す。「第三者に伝えるには、その商品の価値を明確化しなければいけない。『その商品は何なのか』を掘り下げていき、戦略を考えていく」。

掘り下げて考えるときのポイントとして、「ぐるぐると、いじわるに」という表現を使って説明した。「正しい情報を発信しても、伝わるとは限らない」とし、あえていじわるに批判的に考えることによって、戦略の土台が見えてくるという。

講義終了後にはワークショップを行った。半年後に広島で実際に行われる映画祭の来場チケットの販売促進策についてアイデアを出し合った。加形氏が普段行っているシートを使い、プランニングした。

参加者は自分が考えたアイデアを書き出していく

参加者は自分が考えたアイデアを書き出していく

「誰の・何のために」を掘り下げていくコミュニケーションプランニングの考え方は、ソーシャルビジネスを行う上でも重要な役割を持つ。社会問題を解決する事業を起こすさいに、誰の・何のためにその事業を行うのかを明確化しなければいけない。

「事業によって、誰の・何の課題をどう解決したいのか」――これは先月開講された第2回の自主ゼミでボーダレスジャパンの鈴木氏が事業づくりについて語っていたことにもつながっているのではないかと著者自身は思った。

著者自身、企画を考えることには非常に興味を持っていたが、実際にどのようなプロセスで考えていけば良いのかが分からず、これまでは自己流で行ってきた。

今回、現役で広告業界の最前線にいる加形氏の講義を聞けて、ソーシャルビジネスの領域だけにかかわらず、自身が所属しているサークルなどでも、活用していきたいと思った。

第3回目の自主ゼミは7月19日18時半から武蔵大学江古田キャンパス(7号館3階スタジオ)で行われる。講師には(株)テーブルクロスの代表取締役 城宝薫氏を招く。テーマは、「学生時代に起業して得たことと失ったこと」。大学生・社会人問わず参加可能。詳しくはオルタナSの「オルタナS自主ゼミ開講!「ソーシャルビジネス」を研究」の記事を参照していただきたい。

・加形氏がワークショップで行ったフレームワークはこちら

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