日本の伝統や文化を発信する中田英寿氏はこのほど、「国際陶磁器フェスティバル美濃」の総合プロデューサーに就任した。この祭典は、2017年9月15日から10月22日に開かれる。中田氏はサッカー選出引退後、国内外を旅し、陶芸にも触れてきた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

世界から注目される機会にしたいと話す中田氏

世界から注目される機会にしたいと話す中田氏

「国際陶磁器フェスティバル美濃」は、1968年から3年に1度、岐阜県多治見市で開かれてきた陶磁器の祭典。今回で11回目。同祭典の注目企画として、「国際陶磁器展美濃」を開く。このコンペで選ばれた作品は、「国際陶磁器フェスティバル美濃」の期間に展示される。

7月8日、都内で記者会見が開かれ、中田氏は総合プロデューサーとしての意気込みを語った。

――総合プロデューサーになった心境は。

中田:サッカーをやめて以来、海外をまわった後に日本をまわって、日本全国の陶芸に触れてきた。これだけ素晴らしいものがあるということに単純に感動した。自分と同じように、まだこの素晴らしさを知らない人が沢山いると思うので、自分にできることがあるならば力になりたいし、感動を伝えたいと考えている。自分が取り組みたかったことの1つでもあったのでとても光栄。

――総合プロデューサーとして、陶磁器の美とはどのようなものだと考えているか。

中田:日本の陶磁器は素晴らしいが、世界にも良い焼き物はたくさんある。その中でも特に美濃の地には素晴らしい陶磁器があり、素晴らしい作り手がいる。これは日本の良いものを世界に発信するというコンペではなく、世界が日本を目指してやって来るというコンペであることが、まず大きなポイントであると思う。

いま世界は速く・安く・簡単にという流れになっているが、その中でラグジュアリーとは何かと考えたときに手作りというものがいま最大のラグジュアリーではないかと思う。それを多くの人に情報を伝え理解をしてもらう。

このことを日本から世界に発信することは、日本だけではなく世界にとって大切だと思うので、このフェスティバルにたくさんの人に参加してもらうということは日本だけではなく世界にとって大切なことだと考えている。

――日本酒の魅力を伝える仕事もされていると思いますが、日本酒のプロデューサーとしてのノウハウは今回にはどのように活かされるのでしょうか。

中田:まず僕がいまやろうとしているのは、モノをPRするのではなく、文化をきちんと外に伝え情報を交換していくというやり方。それが時にはお酒という形であったり、時には陶芸という形であったりする。

結局モノというのはコミュニケ―ションをとるツールであり、お互いが相互理解をするためのものだと思うので、こちらの方が良いとか向こうの方が良いという話ではなくて、こんな魅力的なものが互いにあるよ、という話をきちんと交換していくことが重要だと考えている。それはサッカーでも、陶芸でもお酒でも変わりません。

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