「経済の右肩上がりの成長には、それに平行したエネルギー消費量が必要だ」という一般常識を、完膚なきまでに打ち破ったのがデンマークだ。

上の表を見てもらいたい。

エネルギーの大転換を開始して以降、GDPは順調に増加傾向にあるものの、エネルギー消費量はほぼ横ばいを維持していることが読み取れる。
それにとどまらず、その裏では再生可能エネルギーの導入を進めているのだ。

このようなことがどうして可能なのか?

日本では2016年4月まで、東京電力、東北電力をはじめとする10の電力会社が電力市場を独占していた。
しかも、東日本では50Hz、西日本では60Hzと交流電源の周波数が異なるため、東西に渡って電力を送電することができない。

それに対して、デンマークではヘルツ数の地域間格差などのインフラの問題はまったくない。

15946718777_f3987bc032_k

また、送電だけは政府管理下で行われているものの、それ以外の発電、売電、配電部門はすべて自由に解放されている。
さらに、市場の独占や寡占を防ぐため、一つの企業がその3部門すべてを独占することが法律で禁止されている。
つまり、発電、売電、配電のうち2つまでしか取り扱えない仕組みなのだ。

デンマークの送電管理を執り行っているのが、国営会社のエナギーネットである。
以前は日本と同じく2つの電力会社が市場を独占したが、1998〜2000年にかけて政府が電力会社を買い取って同社を設立し、配送電分離を決行した。

さらに自由化は国内に留まらず、国際電力取引市場ノードポールに加入。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランドから消費者と生産者は自由に売買先を選択できる仕組みなのだ。
同時に、発電した再生可能エネルギーについては、国が固定価格での買い取りを行っているため、売電の自由度がとても高い。

同社のホームページにいくと、どんな電力が、どこで、どうやって、どれくらい発電され、国内外から輸出入され、消費され、二酸化炭素を排出しているかなどがリアルタイムで視覚化されている。

今現在の電力動向も一目瞭然。ホームページはこちらから

今現在の電力動向も一目瞭然。ホームページはこちらから

1 2 3