港区のエコプラザでこのほど「People Tree × more trees 〜ともに歩もう。1123」が開催された。

講演中の様子(C) People Tree


後半のトークイベントでは、ピープル・ツリー(PT)のサフィア・ミニー代表と、インドのフェアトレード生産者団体「サイレンス」コーディネーターのチャンチャルさんとの対談が行われた。

PTはフェアトレードの専門ブランドとして2011年に20周年を迎えた。サイレンスは、聴覚障がいを持つ人たちに仕事の機会を提供するインド・コルカタのフェアトレードNGOで、キャンドルなどPT向けの商品を20年あまりにわたって生産している。

インドでは、障がいを持つ人びとが仕事を得て自立して生活するのが困難な状況がある。サイレンスではキャンドルなどのフェアトレード商品の製造・販売を中心とした収益だけで、寄付に頼らずに、自立した運営を行っている。

聴覚、身体に障がいがあり、経済的に厳しい状態から抜け出せるように職業訓練を行っており、インド全土で1500人が支援されている。声はほとんど聞こえず静かな工場ではあるが、生産者たちが手話でコミュニケーションを取りながら、生き生きと働いているという。

チャンチャルさん自身は、聴覚に問題はないものの、生まれつき先天性の心臓疾患があり、疾患による活動の制限を抱えながら、サイレンスで生産やマーケティングの業務を行っている。さらに、事務局長を務めるインドのフェアトレード・フォーラム(FTF)の活動も精力的に行っている。

トークの前に、チャンチャルさんは、まず会場にいた来場者の目を見て、無言で挨拶をした。言葉よりも深い何かが伝わってきた。ボディーランゲージで、後ろに座っている人を前に座るようにと誘導し、彼は話し始めた。

「私たちは言葉を使わなくても、わかり合えます。私が一緒に仕事をしているのは言葉のわからない人たちです」この瞬間、言葉ではなく心で意思疎通をして働いている彼らの姿がイメージできた。

キャンドルを参加者へ手渡すチャンチルさん(C) People Tree


チャンチャルさんはPTとの関係について次のように話す。

「PTからの新たなデザインのリクエストの結果、新しい技術を発見することができ、デザインの幅が増えた。日本の消費者を満足させる商品を作れれば、どこの国でも通用すると、PTが果たしている役割にとても感謝している」

サフィア代表は、サイレンスについて、宗教の自由を大事にし、みな平等であるという教育を行っているところが他にはないと評価している。スタッフのための祈りの場所を作り、キリスト、ヒンドゥー、イスラムなどそれぞれの宗教を尊重している。

そんなサイレンスとPTとの出会いで私たち消費者は、インドのサイレンスで作られた、このキャンドルを日本でともすことができる。最後にチャンチャルさんから来場者1人1人へ「サイレンス」で作られたキャンドルのプレゼントがあり会場が暖かい雰囲気に包まれた。(オルタナ特派員=加藤梨沙)

サイレンスのキャンドルは、こちらのページよりご覧いただけます