国際協力に関心のある学生たちが11月26日、途上国の援助のあり方を問い直すドキュメンタリー映画の上映会を横浜市内で開く。上映する映画は、「ポバティー・インク〜あなたの寄付の不都合な真実〜」(監督マイケル・マセソン・ミラー)。途上国支援は現地の人々の自立支援になっているのか、ハイチやアフリカなどを舞台に「支援される側」の人々の声から考え直す内容だ。(横浜支局=細川 高頌・横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程4年)

映画「ポバティー・インク〜あなたの寄付の不都合な真実〜」の宣伝写真

映画「ポバティー・インク〜あなたの寄付の不都合な真実〜」の宣伝写真

同映画は、「貧しい気の毒な人たちのために手を差し伸べよう」というイメージで行われてきた営利目的の途上国開発の意味を問い直すドキュメンタリー。数十億ドルの巨大市場に成長した途上国開発だが、援助活動の多くは失敗に終わり、中には援助の受け手がもともと持っている能力やパワーを発揮する機会を奪っているものもある。

上映会後には、実際に途上国支援に関わっているゲストを交えてのクロストークも行われる。ゲストとして登壇するのは、国内最大級のクラウドファンデイングサイト「Ready for?」で国際協力専門プログラム「VOYAGE PROGRAM」を立ち上げた田才諒哉さんと、ウガンダやケニアのエイズ孤児支援を行っているNGO団体「PLAS」代表の門田瑠衣子さん。寄付を集める立場や、寄付を使って実際に活動している立場から、途上国支援についてトークする。

上映会の企画者の一人で東京外国語大学4年の大室奈津美さんは、大学でパレスチナ問題について勉強している。イスラエルとの紛争が長期化し様々な支援団体が介入しているパレスチナでも、恒常的な援助がパレスチナの人々の自立を妨げ、紛争の解決を遅らせている側面があるという。

「この映画は私がパレスチナで感じたような、一見気づきにくい『援助の負の影響』にスポットを当てている作品というところに関心を持ちました。当日は参加者が途上国開発の是非について活発に議論や質問を交わせる会にしたいです」とイベントへの意気込みを語った。

上映会を企画した大室さんとパレスチナの少女

上映会を企画した大室さんとパレスチナの少女

トークゲストの一人である田才さんは「映画を観て、ファンドレイジングを仕事にしている身として、社会からの善意のお金が『しっかり使われているか』まで責任を持つことの重要性を感じました。イベントでは、実際に現場で活動経験のある方からのお話も交えながら、世の中の共感から集めた寄付をどう大切に活用すべきかについてお話できればと思います」とコメントした。

イベントは14時〜17時まで。場所は、横浜市内のイベントスペース「さくらワークス<関内>」。同映画は来年2月4日から2月10日まで、横浜市内にあるミニシアター「シネマ・ジャック&ベティ」でも上映される。

【上映会「ポバティー・インク〜あなたの寄付の不都合な真実〜」】
とき:2016年11月26日(土)14~17時
ところ:さくらWORKS〈関内〉2Fイベントスペース(横浜市中区相生町3-61泰生ビル2F)
上映料:一般¥1800 学生:¥1500※ワンドリンク付
申込はこちら

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