第4回目となるNPO大学が10月11日、日本財団で行われた。テーマは「子どもの貧困と児童虐待」。講師は児童養護施設での学習支援等を行うNPO法人3keys(スリーキーズ、東京・新宿)代表理事の森山誉恵さん。過酷な児童福祉の現状を語ってくれた。(佐々木桜)

「親がいるとしても最低限の環境が保障されているとは限らない」と森山さんは力を込めた。2015年度の児童虐待の発見数は10万3260件に及び、年々増えている。

虐待などが原因で親と暮らせなくなった子どもは児童養護施設に預けられるが自立まで確実に保障されるかと言ったら間違いである。

一般的には18歳で卒園を迎えるが、東京都の施設出身者のほとんどは、中卒か高卒。大学卒業者はわずか4パーセントしかいない。子どもたちの中には、進学したいが、学費の問題で専門学校や大学への進学をあきらめざるを得ない人が数多く存在する。

子どもの貧困は増え続け、いまでは6人に1人がそうだ。子どもたちへの支援の手は足りているのか。施設職員は1人で4~5人以上の子どもの面倒を見るのが当たり前で、現場は過酷で激務であるという。

教育や福祉は、ニュースでもよく言われているが給与面や労働条件が他と比べて悪い。3keysの活動現場では年間、小学生から高校生の約150名の生徒を約70名の学習ボランティアが教えている。その学習ボランティアをサポートするスタッフもボランティアで、とても繊細な分野なのでマニュアルが約50ページあるうえ、研修期間も4カ月間行う。

ボランティアコーディネートや啓発活動のセミナーは委託された社会人ボランティアが行っている。この数は約50名。常勤スタッフは4名いて、学習ボランティアや社会人ボランティアの統括も担っている。

3keysで は2014年から、相談件数があまりにも多いため学習に限らない相談も受け付けることにした。子どもたちの悩みを聞き、適切な支援機関への橋渡しをする。この間接支援は年間で約1200件に及ぶ予定だ。

厳しい児童福祉の現場を聞いてどう思うであろうか?私はすべての子どもたちが安心して育つ社会をつくるために、現場への支援が早急に必要だと考える。

sakura

執筆者:佐々木 桜(大学2年)
現在大学2年生、専門は心理学を学んでいます。ボランティアは大学1年の授業をきっかけで始め、現在東京都にあるa-con(NPOコミュニケーション機構)に所属し、プロボノを課外活動として行ってします。中学、高校は吹奏楽部に所属しトロンボーンをやっていました。よろしくお願いします。

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