日本の貧困状態にある子どもたちの支援に取り組む特定非営利活動法人3keys(スリーキーズ、東京・新宿)の代表である森山誉恵さんは10月11日、NPO大学で講義を行った。テーマは、「すべての子どもたちが安心して育つ社会へ」。(伊藤 聖矢)
NPO大学はさまざまな社会問題の現状と取り組み、およびその課題について学び、理解する場である。主催者であるオルタナSは、「300万人のエシカルスチューデントをつくる」という目標を掲げ、ただ記事を読むだけでなく、若者が発信者になることで、社会問題と若者をつなぐために同大学を開催している。
今回講義を担当した森山さんは、日本の子どもたちの貧困の現状やそれに対する取り組みを解説した。同団体では、10代向けの相談サイト「Mex(ミークス)」の運営や、大学生や社会人による施設での学習支援ボランティアの管理などを行っている。
Child Issues Seminar(CIS)というタイトルで啓発活動も行う。同セミナーには、ライフネット生命の出口治明会長らが講師として登壇している。
今回の講義のなかで、森山さんは世界中の子どもたちが持っている、「子どもの権利(生きる権利・守られる権利・育つ権利・参加する権利)」の存在を大人たちが自覚し、自分にできる形で子どもたちと関わっていくことが大事だと主張した。
参加者の一人であるSさんは、「子どもの貧困に関して大学で研究しているが、途上国の話が多く、日本でもこれほどひどい貧困の現状があることに改めて驚いた」と感想を述べた。
講義後、「貧困支援団体が細かく分かれていて,なぜもともとある大きな団体を強化しないのか」と尋ねられた。
この質問に対しては、「貧困系の団体は多くあるが、それぞれの地域で子どもの支援が重要であるという観点から団体の数が多いことに違和感はない。一方で支援団体同士でのネットワークの強化やノウハウの共有は必要である」と回答している。
執筆者:伊藤聖矢(獨協大学外国語学部4年)
出身山形県酒田市。地域開発学や貧困や外国人差別、食と農業の社会問題、国際関係学を専攻。アフリカでのボランティアやSETでの東北インターン、青少年教育としてのキャンプや舞台活動など色々なことに挑戦。今年はインドでNGOインターン。バイトで塾講師と居酒屋のホール。いきものがかりが大好き。(可能な限り世界の)子供の貧困の解決と社会問題に取り組む人材の育成が人生の目標です。