睡眠時間と体内時計のズレをデバイスで可視化して、睡眠を改善していくサービスが今秋発売される。このサービスを開発しているのは、大手広告代理店の電通でコピーライターとして働いていた谷本潤哉さん(31)。前職時代、多忙を極めた谷本さんは、自身も睡眠の悩みを抱えていた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
谷本さんは昨年12月、7年間務めた電通を辞めて、O:(オ—、東京・中央)を立ち上げた。開発しているサービスは会社名と同じで、O:(オ—)。
リストバンド型のデバイスを腕につけると、センサーで体内時計を測り、PCやスマフォから見ることができる。体内時計では、就寝に適した時間や日光を浴びるべき時間帯が分かるので、実際の睡眠時間などと照らし合わせて、睡眠を改善していく。
睡眠障害と体内時計の臨床と研究を行う専門医と協力して、利用者へデバイスを通して、睡眠の改善策を教える。谷本さんは、「医学的根拠に基づいて、不眠を根本から治療していける」と話す。
■不眠症2000万人
睡眠障害による日本の経済損失は年間約3.5兆円(参考:睡眠障害の社会生活に及ぼす影響と経済損失」内山真)で、睡眠不足はうつ病や生活習慣病の主要原因でもある。ITの力で睡眠を改善していくこのアイデアは評価が高く、三菱総合研究所が昨年末に開いた「ウェルネス」をテーマにしたビジネスプランコンテストでグランプリに輝いた。
谷本さんがこのサービスを開発した背景には、自身が睡眠障害を抱えていたことがある。谷本さんは前職の電通時代に多忙を極め、睡眠不足に陥り、体調を崩してしまった。
その時に、体内時計の存在を知り、睡眠の専門医から治療法を教えてもらった。この経験から、谷本さんはこのサービスを考え付いた。
利用者は医学的見地に基づいたコーチングも受けられるので、客観的なアドバイスを得られるのが、このサービスの特徴だ。
生産年齢人口のうち不眠症で悩む人は2000万人ほどいる。谷本さんは、「睡眠の悩みを改善することで、新しい働き方を世の中に提唱したい」と話す。
昨今、過労死などが社会問題になるなど、働き方が見直されている。谷本さんは、効率化して残業時間を減らして、生産効率を上げていくことは「本質的ではない」と言い切る。働き方に柔軟性をもたせて、一人ひとりが最適なパフォーマンスを発揮できる時間帯で働いてもらえたら良いと考える。
現在、オ—で働くスタッフは谷本さん含めて5人いる。共同創業者で、CTOの朏島一樹さんは、谷本さんからこのサービスの話をされたとき、即決で加わることを決めたという。
「現代人は時間に縛られているが、人以外の動物は体内時計のままに生きている。このサービスでは本来の人間性を取り戻せることに魅力を感じている」(朏島さん)
このサービスのローンチは今秋を予定している。夏ごろにクラウドファンディングで資金を集めるという。個人だけでなく、運輸業界など、睡眠の悩みを抱える社員が多い企業向けにも販売していく。
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