クリスマス、煙突から、サンタが来るのを心待にする子どもたち。しかし、ここに来るサンタは少し違う。サンタは煙突ではなく、玄関の扉を叩き、本人が直接プレゼントを届けにくる。その正体は高校生と大学生と地元住民。(五十嵐 有沙)

この活動は岩手県陸前高田市広田町を拠点とし、復興に向けたコミュニティづくりを行う特定非営利活動法人SETが企画したもの。

この団体の 代表理事を務める三井俊介さんは1月10日、「復興に向けたコミュニティづくり」をテーマに東京でセミナーを開いた。活動内容だけでなく、住民と復興支援団体が相互に協力し合い、一対一の関係を築くために心がけている姿勢などを話した。

地元の人を喜ばせる企画を考えたとき、「サンタクロース」が思い浮かんだ。こうして、この企画は始まった。今では、数十人の若者がサンタクロース役として協力している。

ある年、メッセージを添えたガーベラの種をプレゼントとして配った。ガーベラの花言葉は「希望」「常に前進」。復興に向けて地域全体を巻き込んだ活動をしていくためには、人々の共感を得て、「共に感動すること」が重要だと三井さんは力を込めた。

三井さんは色とりどりの花を咲かせるガーベラのように一人ひとりの住民が輝ける場を広田町に築いている。広田町に来るサンタはプレゼントと共に町の人々に素敵な笑顔を届ける。

執筆者:五十嵐有沙
群馬県出身。大学では社会福祉学を専攻。今年の夏、犬殺処分ゼロを目指し活動しているNPOでのインターンを経験。そこで人間の身勝手さゆえ奪われる命の尊さを知った。大学のボランティアセンターに所属し、被災地への支援活動や食品ロス削減に向け行政と連携した啓発活動に取り組んでいる。様々な分野の社会課題に注目し、それらは互いに連鎖していると考え、日々全力で活動に取り組んでいる。

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