環境大臣から認定を受けた環境先進企業で組織するエコ・ファースト推進協議会は4月12日、2017年度定時総会を開き、小林正明・環境事務次官が講演した。小林氏は、脱炭素社会へ向けた官民連携について話した。小林氏の講演を連載企画で紹介する。第一回は、「なぜ脱炭素社会へ向かわなければいけないのか」をテーマにお伝えする。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
なぜ脱炭素社会へ向かわなければいけないのか。この問いに小林氏は、「SDGs(持続可能な開発目標)」と「パリ協定」を挙げた。SDGsとは国連が採択したアジェンダで、2030年までに地球規模の課題を解決するために17の目標と、さらに詳細化した169のターゲットを定めたものだ。
SDGsでは民間セクターへの参画も強く求めており、官民が連携してSDGsを推進していくことが求められている。小林氏は、SDGsの17目標のうち、「下線の12ゴールに係る施策(下図)を通して、17ゴールの同時達成を目指す」と話した。
パリ協定は、世界共通の長期目標として、産業革命前から平均気温の上昇を2度より下げることを目的にし、科学技術で温室効果ガスの排出を抑えていくことを掲げた。パリ協定を締結した国は5年ごとに削減目標を提出し、5年おきに進捗を評価する。
2016年11月に発効し、米国、中国、インド、日本など、131カ国およびEU(総排出量の約81.9%)が締結している。
小林氏は、「CO2を排出できる量は残り約1兆トンしかない」と話す。累積CO2の排出量が約3兆トンになると、地球全体の平均温度は2度上昇する。すでに約2兆トンを排出したので、許容できる排出量が残り1兆トンというわけだ。現行ペースでいくと約30年で排出してしまうという。
次回は、脱炭素社会へ向けて民間企業へ期待されることを紹介する。
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