宮城県石巻市の若手漁師らからなる一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンは5月10日、5月病対策として、漁師が早朝、電話で起こすモーニングコールサービスをリリースした。利用希望者は特設サイトに掲載されている5人の若手漁師から電話を掛けてほしい人物を選び、応募する。朝に強い漁師が朝に弱い若者の寝坊を防ぐ。(オルタナS編集長=池田 真隆)
同サービスの名称は、「FISHERMAN CALL(フィッシャーマンコール)」。特設サイトには、同団体代表で石巻十三浜のワカメ漁師・阿部勝太さん(31)ら5人のプロフィールと一日のスケジュールが掲載されている。一人ひとりの音声も聞くことができる。そのなかには、午前2時に起きる漁師もおり、一般的なモーニングコールよりも早い時間に起こしてもらうことも可能だ。
応募期間は5月31日まで、応募者は、利用したい日と時間、年齢などに加えて、早起きしたい理由や悩み事などを記入する。抽選で当たった人に事務局から連絡が行き、漁師から電話が掛かってくる仕組みになっている。
同団体がこのサービスを始めた狙いは、漁師と若者の交流だ。同団体は未来の漁業の担い手を育成することを目指し、2014年に立ち上がった。漁業のイメージを、「カッコよくて、稼げて、革新的」にすることを掲げる。
漁師専門の求人サイトをつくり、記事や写真、動画で魅力を伝える。宮城県の牡鹿半島や女川には都会から移住してきた若者向けのシェアハウスをつくった。若者に人気のアパレルブランドと組み、シーパーカーやスウェットなどを製作した。
漁業者の人数は1963年には62万人以上いたが、2015年は16万7000人と大幅に減った。約半数が60歳を超えており、漁船が5トン未満の個人経営の漁師の約9割に後継者がいない状況だ。
沿岸漁業者の平均所得は253万円(2014年)であり、労働環境だけでなく収入が原因で継がない若者が増えている。
フィッシャーマン・ジャパンでは、漁師自ら販路を開拓し、販売を行う仕組みをつくった。漁協を通さないことで批判を浴びたが、協力費として納めることで特別に認めてもらった。価格決定権を漁師が持つことで利益率を上げて、労働環境を整え、従来のイメージを変えていく。
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