犬猫の殺処分数は年々減少傾向にはあるものの、それでも2015年には、犬15,811頭、猫67,091頭で合わせて82,902頭の小さな命が奪われています。行政での殺処分数は、この82,902頭にさらに「負傷動物の殺処分数」を加えたものになり、総数は92,656頭(※負傷、保管中死亡含む)にも上ります。「飼えないから」「要らないから」――。そんな人間の勝手な都合によって翻弄される小さな命。北海道を拠点に、行き場を失った犬猫を救うために活動するNPOを紹介します。(JAMMIN=山本 めぐみ)
◼︎行き場を失う犬猫たち
殺処分されることが分かって保健所へと連れていかれる犬猫たち。犬猫が保健所に引き取られる背景とは──。
「迷子犬や迷子猫、飼い主がやむを得ない事情で飼えなくなってしまったケースや、多頭飼育現場からの引き取りもある」。そう話すのは、NPO法人HOKKAIDOしっぽの会(北海道・以下「しっぽの会」)のスタッフ、上家桃子(かみいえ・ももこ)さん(45)。
「『迷子犬』や『迷子猫』と言うが、そのほとんどは捨てられたペットたち。また、近年は高齢の飼い主が病気になったり亡くなったりして、同じく高齢のペットが行き場を失うケースも増えてきた」と指摘します。
◼︎ペット売買の裏で…繁殖犬の悲しい真実
犬猫が「捨てられる」ケースは、ペットだけに限りません。ペットショップには愛くるしい犬猫が溢れている一方で、見えないところでは悲惨な現実があります。
過去に犬の繁殖業者の廃業に携わった際、30〜50頭の犬たちが小さい檻に入れられたまま、十分な世話も受けることなく、ただ利益を生むモノのように扱われている現場を見てきた上家さん。
「まさに『パピーミル(子犬工場)』。新しい命を育む一方で、親犬はただ機械のように扱われているという現実を知ってほしい」と話します。
しっぽの会では、行政処分される犬猫たちを引き取り、心身のケアをした後、新しい飼い主を探し譲渡を行う活動を続けています。
■高齢や持病のために譲渡が難しいケースも
しかし、引き取られた犬猫の中には、高齢や持病のためになかなか引き取り手が見つからない場合もあるといいます。
70頭もの多頭飼育現場から引き取られてきた、シーズー犬の想望(そみ)ちゃん(推定年齢3歳)。近親交配が進んでいたこともあり、股関節、膝蓋骨脱臼・肋骨の変形や水頭症等先天性の疾患を多数持って生まれてきました。
彼女の兄妹たちは引き取り手が見つかったものの、想望ちゃんは生まれつきの脳や身体の障がいのため、なかなか見つかりません。重度の障がいのために獣医師からは安楽死も勧められたといいますが、本人が苦しんでいるような状況ではないため、しっぽの会のスタッフが24時間体制で看護しているといいます。
しっぽの会には、想望ちゃんをはじめとして、高齢や持病のために飼い主が見つからず、通院が必要な犬猫たちをサポートする「足長基金支援」制度があります。毎月会員の人たちから支援を受けながら、こうした犬猫たちが安心して暮らせるよう環境を整えています。
■犬猫たちの医療費を集めるチャリティーキャンペーン
チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、しっぽの会と1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルデザインのチャリティーアイテムを販売します。
集まったチャリティーは「足長基金」の一部として、想望ちゃんをはじめとする高齢や病気の犬猫の医療費として使われます。今回のチャリティーで、1ヶ月分の医療費・25万円を集めることが目標です。
JAMMINがデザインしたTシャツには、肩を並べた三頭の犬猫が。後ろ姿を描くことで、「私たち人間は、犬猫を見守る役目がある」というメッセージを表現しました。
Tシャツ1枚につき700円がしっぽの会へチャリティーされます。販売期間は、7月31日〜8月6日の1週間。JAMMINホームページから購入できます。
JAMMINの特集ページでは、しっぽの会の長年にわたる活動や現在の課題、目指す未来について、詳しいインタビューを掲載中。デザインとあわせて、チェックしてみてください。
自分勝手な人間たちの裏で、翻弄される小さな命。殺処分される犬猫を救え〜NPO法人HOKKAIDOしっぽの会
山本 めぐみ(JAMMIN):
京都発チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」専属ライター。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしています。
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