複数の自治体の情報を集約したポータルサイトで、観光客を増やし、ふるさと納税につなげている動きがある。その一つが、人口8万人、熊本市内から自動車で約2時間という場所に位置する海と自然に囲まれた天草市だ。同市では、「天草市まちづくりポータルサイト A-Map」を立ち上げ、市内にある51の地区振興会がその魅力を住民自ら発信している。(武蔵大学社会学部松本ゼミ支局=小保方 紀瑛)

海と自然に囲まれた天草市

同サイトの名称は、「天草市まちづくりポータルサイト A-Map」。このサイトを運営しているのは、天草市のまちづくり振興課。同課は、地域コミュニティの推進を図る部署だ。地域住民の活動に対して、補助金や交付金を出して支援している。このほど、同課は、新たな支援の在り方として、地域の情報発信を強化するために「A-Map」を立ち上げた。

実は、天草市にはA-Mapができる前にも、「天草Webの駅」というサイト上で積極的に情報発信を行う地区振興会はあった。しかし、参加する地区振興会は半数程度にとどまり、天草市全体で各地域の取り組みの情報発信をサポートし、さらには活動実績や、研修・講演会などの情報を検索できるデータベース機能も搭載したポータルサイトは今回が初だ。

A-mapの「A」は、天草市の頭文字であるAと、最初に訪れるサイトという意味であるA、さらには、地域づくりへの解決策としてのAnswerという意味も込められている。加えて、まちづくりのMaster(原盤)になるMAなどの意味もある

同サイトでは、住民が記事を書いている。この地に住んでいるからこそ書ける情報が掲載されており、文章に親しみがある。住民の行事に即した内容で、グラウンドの草刈りやゴルフ大会のお知らせなどもある。

今週の地区振興会というイベントがトップページには存在する。これは、天草市内の51ある地区振興会の魅力を紹介するものであり、テーマを決めて各地域の魅力を紹介している。

特徴の一つであるデータベース機能では、他地域の活動実績や、研修・講演会などの情報を参照できる。各地区振興会に向けた機能だ。これによって天草市内の51ある振興会それぞれが相互効果を生み出せるようなシステムとなっている。

A-Mapを見て、天草市に興味を持ち問い合わせをしてきた人も現れ始めたという。ふるさと応援寄附金も増えて、天草出身者の地元愛の向上にも寄与している。

地方の過疎化や、人口減少が叫ばれる現在の中で、天草市のこの事例はほかの自治体にとっても参考になるのではないだろうか。地域に魅力があれば東京への人口一極化は防げるかもしれない。各自治体が知恵を絞る中でこのような成功例は貴重だ。

天草市まちづくりポータルサイト A-Map

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