2017年7月5日から、九州地方北部で発生した記録的豪雨による被害。道路の損壊や土砂災害が相次ぎ多くの人が避難生活を余儀なくされ、死者は36人にも及びました。豪雨が発生した直後から、現地では自衛隊や災害ボランティアによる懸命の救助や支援活動が行われてきました。被害の大きかった福岡県朝倉市に入り、1週間にわたり支援活動を続けたNPOのスタッフに、緊急支援の活動内容を聞いた。(JAMMIN=山本 めぐみ)

◼豪雨発生の翌朝に出動

平成29年7月九州北部豪雨で被害の大きかった福岡県朝倉市松末地区の様子=7月7日

災害や貧困の地域を訪れ、緊急支援や復興支援を行なっている認定NPO「ピースウィンズ・ジャパン(以下PWJ)」(広島)。これまでに28の国と地域で支援活動を実施してきました。お話をお伺いしたのは、PWJスタッフの西山良太(にしやま・りょうた)さん。豪雨発生の直後から、被害の大きかった福岡県朝倉市を中心に、1週間にわたり緊急支援活動を続けました。

福岡と大分を中心に、記録的な豪雨が発生したのは7月5日。被害の大きさに、同日深夜には出動を決定したといいます。

「レスキューチーム8名、災害救助犬2頭の出動を決定し、6日朝に緊急支援用ヘリコプターで現地入りを予定していたが、雨がひどく、悪天候のために断念。PWJ本部のある広島県神石高原町から、陸路で朝倉市を目指し、昼過ぎに現地に到着した」。出動当時の様子を、そう振り返ります。

九州北部豪雨で被害を受けた地域の上空から撮影した被災後の写真(左)。右は、豪雨前の同じ地帯。田畑や道路が濁流により流され、決壊しているのを確認できる=7月8日

◼着の身着のまま逃げてきた避難者に、少しでも安心を

被害の大きかった朝倉市の杷木(はき)地区で聞き取り調査をすると「着替えがない」、「歯ブラシやウェットティッシュなど衛生用品が足りていない」という声が聞かれました。

「みんな最低限の荷物だけ持って避難所に逃げてきたような状態。雨でずぶ濡れになった服のまま過ごしている人もいた」と話します。

避難所となった学校では、体育館の運動用マットに横になっていた被災者たち。「体が痛い」という声も聞かれたといいます。PWJが企業から提供を受けたマットレスや肌着、靴下を配布すると、避難者の顔に安堵の表情が浮かびました。

朝倉市の杷木中学校で、マットレスを受け取り安堵の表情を浮かべる子どもたち=7月8日

豪雨が発生したのは7月。夏場で気温が高く、ジメジメとした時期。断水が続いていた福岡県東峰村では、避難した村民400人のうち大半が高齢者でした。

「断水により衛生環境が悪く、避難した高齢者たちが感染症にかかる危険性が高まっているという連絡を受け、この状況を『急務』と判断し、支援活動を開始した。近隣のドラッグストアで大量の買い物をすると他の被災者たちが困ってしまうので、佐賀県鳥栖市まで足を運び、ウェットティッシュや消毒液、石鹸やペーパータオルを10万円分ほど購入し、避難所へと届けた」と活動を振り返ります。

PWJは現地で物資支援をする傍ら、避難者に聞き込みを続け、他にも弁当を届け、乳児を連れた女性のための授乳スペースや、洗濯物が干せるように洗濯スペースを設置するなどしました。

授乳スペースを作るPWJのスタッフ=7月13日

◼︎悪天候のため捜索活動は難航

7月7日。被害の大きかった朝倉市杷木地区松末で、豪雨によって道路が寸断され30人以上が孤立した状態であるとの情報が入り、PWJの救助チームは災害救助犬「夢之丞」、「ハルク」と共に現地へ向かいました。

ヘリコプターで被災現場に降り立つレスキューチーム。中央は災害救助犬の「ハルク」=7月8日

「前に進もうにも、土砂や瓦礫(がれき)だらけで進むことができず、相変わらずの悪天候のために川が増水して氾濫していた。先に現地入りしていた自衛隊や消防とも話し合い、水難救助の装備がないと陸からの救助は危険だと判断し、やむを得ずその日の捜索を断念した」。当時の状況について、西山さんはそう話します。

天候が回復した翌8日には、行方不明者の情報があった場所へ、ヘリコプターで向かい、災害救助犬と共に捜索活動を行いました。

被害の大きかった杷木地区で捜索活動にあたるレスキュー隊員たち=7月8日

◼︎避難所運営のための資金を集めるチャリティーキャンペーン

今回の九州北部豪雨での緊急支援はじめとするPWJの活動は、市民からの寄付や中間支援団体からの助成金によって成り立っています。

チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、PWJと1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルデザインのチャリティーアイテムを販売します。

集まったチャリティーは、PWJを通じて、今回の九州北部豪雨の被災者が避難生活を送る避難所運営のための資金になります。

「JAMMIN×PWJ」1週間限定のチャリティーデザイン(Tシャツのカラーは全8色)

JAMMINがデザインしたTシャツには、“Helping each other in the tough times”、「大変な時は、お互いに助け合おう」というメッセージが、タイポグラフィーで表現されています。「困った時はお互い様」という気持ちで、支援の輪を広げていってほしいとの願いを込めました。

Tシャツ1枚につき700円がPWJへチャリティーされます。販売期間は、8月14日〜8月20日の1週間。JAMMINホームページから購入できます。

JAMMINの特集ページでは、今回の被災地での緊急支援について、PWJの活動をより細かく掲載しています。デザインとあわせて、こちらのページもチェックしてみてください。

平成29年7月九州北部豪雨・緊急支援を振り返る〜NPO法人ピースウィンズ・ジャパン

山本 めぐみ(JAMMIN):
京都発チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」専属ライター。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしています。

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