障がい者に対する差別の禁止を定めた法律「障害者差別解消法」が施行されてから、既に1年以上が経過している。しかし、障がいがある当事者にとって、法律の効果はほとんど感じられていないようだ。こうした実態が、障がい者の就労支援などのソーシャルビジネスを展開するゼネラルパートナーズ(東京・中央)が行った調査結果から明らかになった。調査では、約9割が法律の施行後も差別・偏見が「改善していない」と回答している。(オルタナS編集長=池田 真隆)
障害者差別解消法とは、国・都道府県・市町村などの役所や、会社などの事業者が、障がい者に対して障がいを理由として差別することを禁止したもの。2016年4月に施行された。また、この法律では、障がい者から何らかの配慮を求められたときに、負担が重すぎない範囲で対応すること(事業者の場合は対応に努めること)、つまり合理的配慮の提供が求められている。
同社では、法律が施行されてから1年以上が経過する中、障がいのある当事者が差別・偏見についてどう感じているのかを調べるために調査を行った。インターネット調査において、20代から60代の身体・精神・知的障がいがある当事者326人が回答した。
障害者差別解消法が社会に浸透していると思うかを聞いた質問では、「浸透していない」という回答が92%に及んだ。また、89%が同法の施行後も差別・偏見は「改善していない」と回答している。
続いて、合理的配慮について聞いた質問でも差別・偏見と同様の結果が見られた。法律の施行後も、84%が合理的配慮を「受けやすくなったとは思わない」と回答している。
このほか、調査では、どのような場所で差別・偏見を受けたことがあるかも聞いている。その結果、最も多かったのは「職場」(56%)であり、次いで公共交通機関(30%)だった。
調査を実施した同社の障がい者総合研究所の中山伸大所長は、「障がいの特性などは個々人によって異なるため、一概にこう配慮をすれば正解というものはない」とした上で、「内閣府や各自治体から出ている事例集などの情報を活用することで、ある程度のイメージを持つことはできる。こうした情報を参考にしながら、障がいのある当事者と向き合うきっかけを作っていくことが重要」と述べた。