自然食品、エコ雑貨、フェアトレードなどを扱うエシカル系ショップは地域のソーシャル活動のオピニオンリーダー的存在ではないかと以前より思っている。

先日のオルタナSで紹介した熊本市のフェアトレード・シティ認定(認定の詳細はここへ)はフェアトレードショップ「らぶらんどエンジェル」を開設されている明石さんが大変尽力されたもの。

そんなソーシャル活動をされている全国のショップを今後紹介して行くが、先ずは青森の自然食品店「あおぞら」が1年前から始めたペットボトルのキャップを回収し「ワクチン」を発展途上国の子供たちへ届ける活動について紹介したい。

代表の西舘三津子さんに伺った。
詳細は→あおぞら

Q.(編集部、以下同)
どのようなきっかけで活動を始めたのでしょうか?

A.(西舘さん、以下同)
「あおぞら」では以前よりエコバッグ持参を呼び掛けるなど、エコにも心がけて来て、ウチのような自然食品のお店に出入りしている方々の「エコ」の意識が非常に高い事がわかっていました。

また自然食品を扱っている関係で「健康」が大事なキーワードでもあり、ゴミを減らすと同時にそのゴミが発展途上国の子供たちへの希望になるという一石二鳥の事を率先して行いたいと思って始めました。

こんなに溜まりました


Q.どのくらい集まったのですか?

A.年間でキャップ28kg(約2万個)、つまりワクチン28個分(約800個で1個)が集まりました。
それを「青森県福祉サポート会」へ持っていくと常務理事の方が「こんなに多いのは見た事がない」、「個人でこんなに集めるなんて、どんなお仕事をなさっているんですか?」「まだまだ広まっていないので、是非とも続けていってください。」と言われました。

Q.普通の分別とワクチンプレゼントのための分別の違いをどう思われますか?

A.地域や世界の病気や障害など「健康」に深く関係した良いものを得る事ができるので、「環境問題」だけを考えた「分別」よりも、「環境問題」も人の「健康」をも考えられるところが大きな違いだと思います。
世界の子供たちへワクチンを届ける事で広く世界に貢献できますし。
一つの「ゴミ」として分別するのではなく、全て何かに「生かされるもの」として分別する・・・この考えの違いは、やる気や意識をも変えていくと思います。

こんな感じかな(西舘さん)


Q.お店に来られる若い方たちの反応はどうですか?

A.若い世代の方は全体の2割位ですが、ペットボトルを使う頻度が高いのでとても多く持って来られます。
「大きいことは無理でも、こうやってちょっとした事でできるなら、(環境や世界の子供たちのために)役立ちたいと思って持ってきました」、「もともと分別はしているので、やりやすい」などの感想を聞いたことがあります。
若い世代でも、ゴミとして分別するより、「薬」になる分別の方が取り組みやすいのでしょうね。
若い主婦の方やお年寄りの方からは「子供が学校で集めていますが、学校に持っていくのは大変だけど、こうして買い物ついでに持って来れるのはとっても便利」、「リサイクルなどは指定の曜日が決まっているけど、こういうのは自由にいつでも持って来れるのでいい」などの声も聞かれます

Q.若い方のエコ意識の変化についてはいかがですか?

A.最近はエコについて考える機会が増えています。それは、自分の身近な問題となってきているからだと思います。

「エコ」について考えるには、まず、自分で「自然」を感じる事から始まると思います。
山や川、海、空、風など自然界から得られる食べ物や飲むもの、目で見る景色や、耳で聞く自然の音・・・などを通して「自然に触れる」なら、いかに大事な「命」なのか大事な「環境」なのかが理解でき、大切にしようとする気持ちが養われていきます。

自分たちは「地球に生かされている」と感じるようになると、何故自然は大切なのかを自分なりの理由からもっと意味のある取り組みを考えていくことが可能になっていくので、本当の意味での「保護」になるエコ活動が初めてできるのではないかと考えています。

そういう意味では、自然食品を取り扱っている職業柄、最近の震災などで若い人たちも自然環境について見たり考えたりする機会が一段と増えているので、身近な問題と感じて、意識の変化がもっと高まっている様子を見る事ができています。

今回西舘さんのような活動を通して地域住民の意識が世界まで繋がるショップの存在は素敵なことだ。
他にもこんな社会貢献に取り組む全国のショップをご存知の方は、ぜひその情報を伊藤まで「お問い合わせ」欄からお寄せ下さい。

(特派員 伊藤きっこう)