北海道・十勝にゆかりのある個性豊かなスピーカーの熱意のこもった話を間近で聞ける――そんなトークイベントが「とかちの楽しい100人」だ。同郷の仲間を応援し合うこのイベントには、音楽家、YouTuber、高校生マーケティング会社の代表らが登壇した。実行委員会の代表・高木公平さんに話を聞いた。(武蔵大学松本ゼミ支局=佐野こゆ季・武蔵大学社会学部メディア社会学科3年)
3ヶ月に1度開かれるこのトークイベントは、十勝出身者や十勝で活動している人をゲストスピーカーとして招き、自身の活動を思う存分イベントの参加者に語ってもらうというものだ。
毎回3人が15分程度ずつ話し、音楽家、YouTuber、高校生マーケティング会社の代表、十勝川に遡上する鮭について熱く語る人など、内容やゲストスピーカーは実に様々だ。
イベントの運営を行う一方で、高木さんはラジオパーソナリティとしての顔も持つ。自身の番組で出会った人に声をかけ、ゲストとして登壇してもらうことも多いという。普段の仕事で1対1、もしくは1対複数で話すからだろうか、「顔を合わせて話す」ということの重要さについて真剣に話していたのが印象的だった。
「大きい会場のホールで、壇上に花が飾ってあって、司会者がいて……すごく良いことを話してくれそうだけど、自分とは遠い世界の人に感じる。凄い会社の社長さんも、たまたま入った居酒屋の席で出会って、会話が盛り上がって。あとで社長さんだと知って繋がる人間関係とでは全然違う」出会い方というのはとても大切なことだと言う。
大学の先生や福祉に携わる人などの異業種間の交流も進むなど、参加者の中で様々な広がりをみせている「とかちの楽しい100人」だが、イベントの運営には苦労も多い。
「開催が平日で、スタッフも仕事を持っているから、少ない人数で時間をかけずに済むようにイベントを回すことを意識している。謝礼は払っていないが、遠くから来るゲストには交通費を払っているため、もっとゲストに来てもらうためにもお金を工面したい」
他にも、若者にも参加してもらうにはどうすべきかを常に考えているという。「職業を選ぶ際に、職種や企業名などで選ぶのではなくて、働き方、こういう風なことで自己実現したいと思えることを見つけてもらいたい。そのためにも、このイベントを通して大人のあがいている様子とか、そういうのも見てもらいたい」
7回目のイベントあたりから実行委員長を引き継いだ高木さん。実行委員も高校生や大学の先生、その前にゲストとして話をしてくれた人などが加わり、イベントを回す人が今までよりも若い層に変わっていったことが印象的だったと話す。
少しずつではあるが、若者も気軽に参加できる環境が整いつつあるように感じた。「とかちの楽しい100人」も、次回で15回目。これからも様々な背景を持ったスピーカーたちが熱く語り、新たな「楽しい」が広がっていくだろう。