みなさんは、2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標(以下、SDGs)」について、どれくらい知っているでしょうか。目標がいくつあるのか、いつまでに達成しなければならない目標なのか、先進国である日本に住む私たちには関係あるのでしょうか。そもそも、この目標を「自分事」にとらえることができているかと言えば、そうではないと答える人が大多数ではないかと思います。(中山 裕太)

未来を変える目標 SDGsアイデアブック

それを裏付けるように、SDGsの認知度は、約15%という調査結果もあります。一部の有識者、NPO・NGO担当者、あるいは企業でCSRに関わる人たちの間でしか認知されていないのかもしれません。

日本人には認知されていないSDGsの入門書としておすすめなのが『未来を変える目標SDGsアイデアブック』(編著:一般社団法人Think the Earth/監修:蟹江憲史)です。17の目標の概要を見開き1ページで紹介し、次項に世界で取り組まれているその目標に対する2つの事例が簡潔に紹介されています。

海外の事例が多いのですが、所々に日本の事例も紹介されていて興味深いです。ただ、SDGsビギナーにとって、簡潔に紹介されているのはありがたいのですが、中級者、上級者にとっては物足りないかもしれません。

本書では、そのような人向けに「もっと知りたい」という段落を設けています。紹介されている事例のURLを掲載しており、深く学びたい人にも対応しています。巻末には、丁寧な参考文献の紹介もあります。

特徴的なのは、マンガで紹介されているところです。SDGsは、先進国、発展途上国の人々がみんなで取り組んでいく目標です。その側面を尊重するため老若男女問わず、読める一冊になっています。

ですので、小学校や中学校の社会や総合、あるいは道徳の授業や企業内研修会、セミナーなどでも内容をそのままに使用できると思います。

そして、事例と事例の間に適切なSDGsの解説がついています。漠然と17の目標があるというだけの理解から一歩飛び出して、ミレニアム開発目標(MDGs)との関わりやSDGsを読みとく視点が書かれており、読者に示唆を与えてくれます。最後に、SDGsの大切な考え方のひとつ「誰も置き去りにしない(no one will be left behind)」を紹介したいと思います。

国連は、2030年までにこの目標の実現に向けて動きはじめました。本書を監修した慶応義塾大学大学院教授の蟹江憲史氏は、『「持続可能な社会が実現できているか」という観点からみれば、世界に先進国はありません。日本も途上国です』と述べています。

パリ協定をはじめ、世界各国がこの目標の達成に向けて動き出している中、私たち一人ひとりが日常生活にSDGsの発想を持ち行動を変えていくことで、目標達成に貢献できることになるのでしょう。自分事にしていくことが重要です。自分事の第一歩として、この本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

未来を変える目標SDGsアイデアブック


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