北海道オホーツクにある北見市。この地域を盛り上げるため、インキュベーション施設の運営や地元食材を生かしたブランディングを行うのがロジカルだ。外部の視点で地元住民では気付けなかった魅力を発信している。(武蔵大学松本ゼミ支局=山下 晃史・武蔵大学社会学部メディア社会学科2年)
ロジカルは、北見市の活性化を目的とした多彩な事業を行う。地元企業の商品ブランディングや北見式焼肉のPR、コワーキングスペースの運営も手掛ける。
代表の西野氏は北見市生まれ。大学進学を機に上京し、卒業後はSBI証券に入社した。早朝から夜遅くまで働きながら通信制のSBI大学院で学ぶという生活を送っていた。西野氏は北見に戻ってきた理由をこう話す。「東京では成長を求めて努力している人をたくさん見てきたが、同じような努力を北見で行えばかなり成長できるのではないかと思った」。
北見に戻ってきた後は、焼肉店が多いという特色を生かし、「北見焼肉弁当」などを商品化したほか、まちづくり団体に所属しながらロジカルを立ち上げた。
西野氏は、「北見に住んでいる人たちには分からないが、東京などから来た人には分かる魅力的な場所がある」という。いまでは北見市の名物となっている焼肉だが、取り上げられるまでは、北見に住んでいる人たちからすると、「なんだか焼肉店が多い程度」としか認識されていなかったそうだ。
全国生産量一位の玉ねぎを生かし、傷がついたものなどをコロッケのじゃがいもの代わりに使う「タマコロ」もそうだ。これは、全国コロッケフェスで優勝したが、当初は、「オホーツク熟成コロッケ・オニオン」という名称で一部の限られた店で売られていただけだった。
西野氏は、地域活性化のためには、「まちづくり」「人」「企業」「コンテンツ」の各分野が揃うことが不可欠だと語る。
そこで行っているのがコワーキングスペースの運営をはじめとする、インキュベーション施設の運営だ。ロジカルは元々コワーキングスペースを運営していて、今は北見市が運営するサテライトオフィス北見で、インキュベーションの取り組みを北見や北見工業大学と連携し行っている。だが、現状は東京などから出張で来るビジネスパーソンなどが多く、地元には浸透していないのが現状だ。
ゼミ単位で北見工業大学と連携し、AIの活用など様々な取り組みを行うという。このように街の活性化には、北見から発信できる新たなコンテンツ作りの他にもこれからの北見を担う人作りも大切なのがわかった。成果を出しつつあるコンテンツ作りだけでなく、長い時間がかかる「人」づくりにも注目していきたい。